パナVR、システムキッチンから未来を体験できる空間を紹介:VR(2/2 ページ)
パナソニックは2019年5月23日、技術セミナー「VRシミュレーション技術の取り組み」を開催。これまでのVR技術開発の変遷に加え、2019年4月に開業したマンションセンター「HARUMI FLAG パビリオン」に導入しているVR設備の特徴などを紹介した。
新たなVR体験は、モデルルームの課題を解決
第2部は会場を移し、2019年4月27日に開業した東京都中央区のマンション販売センター「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ) パビリオン」で行った。
冒頭、パナソニックライフソリューションズライティング事業部エンジニアリングセンター・中央エンジニアリング部照明環境解析課の高島深志主幹が説明。HARUMI FLAG パビリオンに、初導入された、体感型VR「VIRTUAL STAGE MIERVA(バーチャルステージミエルバ、以下、MIERVA)」を紹介した。
MIERVAは、等身大サイズの投影で、住空間(眺望・内装)などをリアルに体験できる空間演出・創造プラットフォーム。バーチャル散策やバーチャルモデルルームとして内装の確認、等身大の眺望体験などができる。
BIM、CAD、静止画、動画などを組み合わせ、等身大の3次元シミュレーションを顧客空間に合わせてVR空間に投影することが可能だ。表示の際は、シミュレーション上で、顧客の環境に合わせてプロジェクター台数・レンズ・スクリーン形状を決定する。
開発の背景には、既存モデルルームが抱える、実展示できる住戸プラン数に制限があることや、戸別ごとのイメージが不明瞭といった課題があった。
しかし、ゴーグル型のVRだと1人での体験となり、複数人でイメージを共有できない。そこで解決策としてパナソニックは、顧客空間に設置可能で、ゴーグル不要、リアルスケールで体感可能なVR投影システムの新規開発にこぎ出した。
HARUMI FLAG パビリオンに導入されたMIERVAは、ドーム型と眺望体感型の2タイプ。ドーム型は、イベントや展示に最低限必要な天井高に収まる高さ2.6メートルのスクリーンと、2台の高輝度プロジェクターを使用。人間の視野角に近い上下、左右ともに最大約180度の広視野角VR投影が実現できる。また、視点(立ち位置、高さ)を計算し、実物大で投影できるためVRへの没入感を高められる利点がある。
眺望体感型は、これまでのモデルルームで使用されていた引き伸ばし写真や、CG合成写真などの代替になり得る。機器構成は4台の高輝度プロジェクターと超短焦点レンズを使用する。パナソニックの照明機器とも連動させ、動的な映像を演出している。さらに3Dデータのリアルレンダリング技術で、各住戸からの眺望シミュレーションを卓上ディスプレイで流すなど、機能拡張にも応じる。
三井不動産レジデンシャル選手村事業部推進室の高木洋一郎主管は、MIERVAの利点について「HARUMI FLAGの美しい景色や建物の内装などを従来の引き伸ばし画像やCGなどで伝えることは難しいと頭を悩ませていた。だが、MIERVAにより、美しい景色を伝えることを具現化し、問題解決の一助になった」と語った。
今後、パナソニックは、MIERVAを、BIMの各工程に連携させ、迅速な空間評価、フィードバックなどに活用して、さらなる快適な空間の構築を目指す。
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