VRで建設現場の災害を体験、東急建設とバンダイナムコが教育システムを開発:BIM/CAD
東急建設はバンダイナムコスタジオの技術支援を受け、VR技術を活用した体験型安全衛生教育システムを開発した。VR空間内でさまざまな事故の発生過程を疑似体験できるシステムで、災害事故の発生防止につながる行動などの学習に役立てる。
東急建設は2017年8月、建設現場の災害事故防止への取り組みとして、VRを活用した体験型安全衛生教育システムを開発したと発表した。体験者がVR空間内でさまざまな災害事故の発生過程を疑似体験することができるシステムで、災害事故の発生防止につながる行動などの学習に役立てる。
一般的な安全衛生教育は、災害事故事例を用いた教本や映像などによる受動的な学習が主体となる。一方、今回開発したシステムは、体験者がヘッドマウントディスプレイと、手足に装着するコントローラーを利用することで、VR空間の建設現場で実際に手足を動かす作業を行いながら、没入感をもって学習できる。システムは持ち運びが可能で、現場事務所などの会議室で利用可能だ。
システムの開発には、ゲームソフトの企画開発を手掛けるバンダイナムコスタジオが協力している。ゲームコンテンツに取り入れられている感情や、心理といった人間の行動原理に影響を及ぼすストーリー展開技術を活用することで、災害事故に至る過程をVR空間上でリアルに再現しているという。
通常の体験型学習では体験者に模範的行動を習得させることを目的とするのに対し、このシステムで体験できるコンテンツは、災害事故の主な原因となる「気付き忘れによるミス」「横着する」といった体験者本人が実際に起こしそうな安全でない行動を誘発しやすい状況を設定。あえて災害事故を疑似体験させることを意図して制作している。本来遭遇してはいけない災害事故を疑似体験することで安全意識を喚起させ、災害事故ゼロに大きく寄与することが期待できるとしている。
東急建設は現場で働く従業員や協力会社を対象に、このシステムを活用して安全衛生教育を進めていく方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 災害状況をリアルに再現? 竹中工務店がBIMデータを活用したVRシステムを開発
竹中工務店は、地震や火災など複数の災害予測や避難行動の解析結果を統合し、VR(仮想現実)による事前体験を可能とするシステム「maXim(マキシム)」を発表した。 - VRで重機を遠隔操作、大成建設が新システム
大成建設はヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いて、遠隔地から実際に搭乗している感覚で重機を操縦できるシステムを開発した。災害現場などの二次災害の危険がある場所での作業などに活用できるという。 - いまさら聞けないVRの基礎ーー2D/3Dとの関係性
建築土木分野での活用が広がっているVR(バーチャルリアリティ)技術。一方、そもそものVRのやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の仕組み、これらを活用してくいく上での注意点などについては、意外と知られていないのではないだろうか。本稿ではこうしたVRの基礎的な部分について解説する。 - BIMデータを数分でVRで使えるデータに変換、「Autodesk Live」
オートデスクは「Autodesk Revit」で作成したBIMデータを、VR機器やタブレット端末などで活用しやすいデータに変換できるクラウドサービス「Autodesk Live」を9月下旬から発売する。