振動ローラの運転を自動化、“ICT飽和度システム”も搭載し施工品質も向上:建機自動化
安藤ハザマは、ダムや造成工事の転圧作業で使用する「振動ローラ」の自動運転システムを開発した。
安藤ハザマは、ダムや造成工事の転圧作業で使用する振動ローラの自動運転システムを開発した。この建機の自動運転システムを新たな品質管理手法「CCV-飽和度モニタリングシステム」と組み合わせ、実施工に適用した。
自動運転で熟練オペレータと同等の運転精度を実現
振動ローラは、自動運転化のために、衛星測位システムのGNSSや各種センサーを備え、センサーで取得した情報から車体の位置や方向、操舵角などを把握して車体を自動制御する。実際のテスト走行では、前後の走行時に、直進精度の平均誤差は、実証実験時で68ミリとなり、熟練オペレータと同等の高い運転精度が再現されたという。
CCV-飽和度モニタリングシステムは、安藤ハザマ独自開発の最適飽和度をリアルタイムに把握できる施工管理システムで、適用した工事では自動運転振動ローラに取り付けた。施工状況のモニタリングは、GNSSと加速度計で位置情報と加速度応答値(CCV値)を取得し、それらの情報と別途測定した含水比を組み合せることで、土の密度や飽和度といった締固め状態を面的に評価して、施工品質の向上を図る。
実際に適用した工事は、熊本県合志市幾久富地内で建設を進めている菊池環境保全組合が発注した新環境工場の敷地造成工事(工期:2018年4月2日〜2019年7月31日)。施工範囲を座標で設定することで、走行ルートの算定、指定回数での転圧作業の自動化を行った。
また、「CCV−飽和度モニタリングシステム」によって、自動転圧作業で締固め状態をリアルタイムに把握して、全施工面で品質が確保されていることを確認した。
安藤ハザマでは今後、複数の建設機械による一連の作業自動化にも着手し、より効果的な品質管理を目指すとしている。
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