RC基礎梁の補強工法を改良し、省人化・省力化と設計自由度を向上
安藤ハザマら3社から成る「基礎梁(はり)開孔補強研究会」は、工費やCO2の削減を図れるRC基礎梁の補強工法「エコ基礎梁工法」を改良し、省人化・省力化に加え、設計自由度の向上を図った。
安藤ハザマ、西武建設、東亜建設工業で構成する「基礎梁(はり)開孔補強研究会」は、大開孔を有するRC基礎梁の補強工法「エコ基礎梁工法」を技術改良した。これにより、適用範囲が拡大し、このたび日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第10-26号 改1)を再取得した。
梁せいの深さを開孔直径の2.5倍から2倍にまで短縮可能に
エコ基礎梁工法は、鉄筋コンクリート造基礎梁に設ける人通用や設備配管用の大開孔を4本1組の斜め補強筋を用いて補強する工法。基礎梁の中央付近には、円形の貫通孔(開孔)が設けられることが多く、基礎梁の梁せいは構造上必要がなくても、慣用的に開孔直径の3倍以上とされていた。エコ基礎梁工法では、梁せいを可能な限り構造上必要な分だけで抑えられる約2.5倍以上に低減できるように開発した。
基礎梁せいを縮小できることで、型枠・コンクリートといった材料費の低減に加えて、基礎の掘削土量の低減にもなり、従来工法と比較して、躯体コスト全体で3〜6%程度のコストダウンが可能になる。また、掘削土量が少なくなることで、建設時のCO2排出量削減も見込める。2011年3月には、日本建築総合試験所の建築技術性能証明(性能証明第10-26号)を取得。これまでに、学校や商業施設など、数多くの適用実績があるという。
今回、さらなる省人化・省力化、設計自由度の向上を目的に、技術改良を行った。主な改良点は、梁せいの深さ、斜め補強筋と貫通孔補強金物の併用、大開孔と近接する開孔間隔の3点。
梁せいの深さでは、開孔直径が600mm(ミリ)の場合、梁せいの深さは1500mm以上から1200mm以上となり、最大で300mm短縮される。これまでの開孔直径に対する比率で言えば、2.5倍から2倍にまで抑えることができる。
貫通孔の補強は、これまで4本1組の斜め補強筋を用いていたが、配筋作業の省人化・省力化のため、斜め補強筋が3組以上となる場合は、基礎梁内部の斜め補強筋(梁側面の斜め補強筋を除く)を既製の貫通孔補強金物に置き換えることを可能にした。
隣り合う開孔の中心間隔については、平均開孔径の3倍以上を確保する必要があるが、新工法では2.5倍の位置まで近づけることができる。これにより、大開孔に近接する設備配管、電気配線などの中開孔を配置する自由度が増す。
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