建機の走行と作業をAIで一体制御、無人作業実現へフィジカルAIの研究開発開始:i-Construction 2.0
パーソルクロステクノロジーとUnseedは、建設機械の走行と作業をAIで一体的に制御し、無人作業の実現を目指す共同研究開発を開始した。ダンプトラックによる土砂運搬を対象に、走行と土砂をまくといった一連の作業の自動化に取り組む。
パーソルクロステクノロジーとUnseedは2026年10月30日、建設機械の走行と作業をAIで一体的に制御し、無人作業の実現を目指す共同研究開発を開始したと発表した。ダンプトラックによる土砂運搬を対象に、走行と土砂をまく作業を、Vision-Language-Action(VLA)で統合制御する自律システムの構築を目指す。
建設機械の自動化では、走行と作業を別々のロジックやシステムで制御するケースが多い。一方、実際の建設現場では、走行しながら土砂をまく作業や、対象物を認識しながら移動して掘削する作業など、移動と作業を組み合わせた制御が求められる。
今回の共同研究開発では、ダンプトラックによる土砂運搬をユースケースに設定し、シミュレーション環境を活用してVLAモデルの構築と検証を進める。VLAは、カメラなどから取得した視覚情報と自然言語による指示を基に周囲の状況を理解し、車両やロボットなどの行動を生成するAIモデルだ。
まずは走行しながら土砂をまくタスクを対象に、車両の走行と土砂散布をAIで統合的に制御する技術の開発に取り組む。従来は個別に制御していた移動と作業を一体化することで、より柔軟で高度な自律システムの実現を目指す。
将来は「指定した場所まで移動して土砂を下ろす」「このエリアを埋め戻す」「資材を指定位置まで運搬する」といった自然言語による指示を理解し、周囲の状況に応じて行動を生成する自律システムへの発展も見据える。
共同研究開発では、パーソルクロステクノロジーが自動運転や先進運転支援システム(ADAS)、ロボティクスの開発支援で培ったシミュレーション、車両制御、実験、評価の技術を活用する。UnseedはAIモデルの研究開発力を生かす。
両社の技術を組み合わせ、AIによる判断を実際の機械動作につなげることで、特定の車両や作業用途に限定されないVLA技術基盤の構築を目指す。
パーソルクロステクノロジーは技術開発に加え、VLA技術の導入や活用を検討する企業に対してユースケースの整理、導入構想の策定などのコンサルティングも行い、社会実装に向けた取り組みを支援する。
今後はシミュレーション環境での研究開発に加え、実機による検証も視野に入れ、実環境への適用可能性を評価する。建設機械で培った知見を基に、自動車などのモビリティや産業機械、ロボットといった移動と作業を統合的に行う次世代自律システムへの展開も検討する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
第8回 国際 建設・測量展:インフラDX大賞受賞の地方建設業でもできる「遠隔施工」、奈良のゼネコンが独自装置とStarlinkで実現
中和コンストラクションは「CSPI2026」で、インフラDX大賞を受賞した地方建設業による遠隔施工の取り組み成果を発表した。災害復旧現場での安全確保を出発点に、Starlinkや独自開発した遠隔操縦装置を活用し、省人化や生産性向上を目的とした遠隔操作を実現するまでの道のりを適用事例を交えて示した。
第8回 国際 建設・測量展:埋設物をバケットで検知 西尾レントオールがCSPIで最新ICT施工と熱中症対策を展示
西尾レントオールは「CSPI2026」で、「i-Construction 2.0」「電動化」「熱中症対策」の3つのテーマでブースを構成した。遠隔操作コックピットや埋設物を検知するバケット、作業員を守るクーラーテントなどを披露し、安全で高効率な現場構築を提案する。
ドローン:3次元測量と点群化の完全自動化に成功、宮崎の旭建設と扶和ドローン
宮崎県の旭建設と扶和ドローンは、建設現場でのドローン3次元測量と点群化の「完全自動化/自律飛行」の実証実験に九州で初めて成功した。ドローンポートを活用し、日々の出来形確認の3D測量を無人化した。
山岳トンネル工事:トンネル切羽のあたり取り作業を自動化、施工中の現場で実証 安藤ハザマ
安藤ハザマとコベルコ建機は、トンネル切羽のあたり取り作業の自動化技術を開発し、施工中のトンネル現場で実証実験を行った。
i-Construction 2.0:建機の遠隔操縦で映像遅延がわずか0.05秒 IIJがi-Con 2.0向けに通信環境を提案
IIJエンジニアリングとハイテクインター、ジツタ中国は、東京都神田のオフィスから茨城県つくば市に配置した建機を遠隔で操縦する実証実験を行った。これまで課題だった信頼性の高いネットワークの構築や複数カメラ映像の伝送、映像遅延などを衛星通信のStarlink2台と2種類のフレッツ光回線を用いた独自の通信技術で解消した。映像の乱れも抑制する高品質かつ超低遅延の通信環境を提供し、i-Construction 2.0に対応する建機の遠隔施工を後押しする。
2050年に鉱山運営でネットゼロ!:日立建機の鉱山DX フル電動ダンプとAI解析を軸とした「3つのゼロ」戦略
日立建機は、鉱山業界にも波及する脱炭素化の波を受け、採掘プロセスでCO2排出量の約4割を占める「運搬工程」のCO2削減をターゲットに、フル電動とハイブリッドの2段構えで次世代ダンプトラックの開発を進めている。また、建機のハードウェアだけでなく、カナダの企業への出資を通じた稼働状況のAI解析といったソフトウェアによる鉱山運営のCO2削減も構想し、単なる「機械メーカー」から「デジタルソリューションプロバイダー」への業容拡大も視野に入れる。


