日立建機の鉱山DX フル電動ダンプとAI解析を軸とした「3つのゼロ」戦略:2050年に鉱山運営でネットゼロ!(1/2 ページ)
日立建機は、鉱山業界にも波及する脱炭素化の波を受け、採掘プロセスでCO2排出量の約4割を占める「運搬工程」のCO2削減をターゲットに、フル電動とハイブリッドの2段構えで次世代ダンプトラックの開発を進めている。また、建機のハードウェアだけでなく、カナダの企業への出資を通じた稼働状況のAI解析といったソフトウェアによる鉱山運営のCO2削減も構想し、単なる「機械メーカー」から「デジタルソリューションプロバイダー」への業容拡大も視野に入れる。
日立建機は2026年2月19日、東京都台東区東上野の本社で「マイニング製品開発責任者ミーティング」を開催し、2050年までにCO2排出量のネットゼロを達成する戦略を発表した。鉱山運営の脱炭素化を実現するために投入する新製品の建機は、「トロリー充電式フル電動ダンプトラック」と「ハイブリッドダンプトラック」だ。さらに、AIを活用したデジタルソリューション「LANDCROS Connect Insight」も披露した。
国や地域ごとの電力事情に合わせた「2段構え」のGXダンプ戦略
鉱山業界では、多くの企業が2050年までに、温室効果ガスの排出量を正味ゼロにする「ネットゼロ」を掲げている。その達成には、掘削から積込、運搬工程の脱炭素化が不可欠となる。特に、マイニングショベル1台に対して数台から十数台が稼働するダンプトラックは、1台あたりの年間CO2排出量が約3000トンに達し、対策が急務となっている。日立建機は直面する脱炭素化に対し、地域の電力事情に応じた「フル電動」と「ハイブリッド」の2段構えでニーズに応える。
なぜ2段構えなのかといえば、国や地域ごとに電力事情が異なるためだ。
電力単価が低く再生可能エネルギー比率が高い、アフリカのザンビアのような地域では、燃料を一切使用しない「フル電動ダンプトラック」がメリットを生む。日立建機が提唱する「トロリー充電式」は、架線から給電を受けて走行しながらバッテリーを急速充電する。下り坂では回生ブレーキでエネルギーを回収することで、停車して充電する稼働率の低下を防ぐ。ザンビアでの実証試験では、4000キロ以上の走行と3万トン超の運搬を達成し、CO2排出ゼロと加速性能、静音性の向上が証明された。
搭載する「チタン酸リチウムバッテリー」の寿命は、適切な充放電管理により、24時間稼働を前提に6年以上の耐久性を設計値として確保する。フル電動モデルの製品化は、2027年度中を目標としている。
一方、オーストラリアや米国のように電気代が高い国、または新規インフラ投資を抑制したい国には、ハイブリッドダンプトラックを提案する。既存のディーゼル車両を“レトロフィット(改造)”可能な点が特徴で、回生エネルギーの活用によってディーゼル機に比べ燃料消費量とCO2排出量を10%以上削減できる。この技術は、ネットゼロへ移行するまでの“橋渡し技術”として位置付けられており、2030年度の実用化を計画する。
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