トンネル切羽のあたり取り作業を自動化、施工中の現場で実証 安藤ハザマ:山岳トンネル工事
安藤ハザマとコベルコ建機は、トンネル切羽のあたり取り作業の自動化技術を開発し、施工中のトンネル現場で実証実験を行った。
安藤ハザマとコベルコ建機は2026年3月18日、山岳トンネル工事における切羽のあたり取り作業を自動化する技術を開発し、施工中のトンネル現場で実証実験を実施したと発表した。
両社は、建設現場の生産性向上と無人化施工による安全確保を目的に、建設機械の自動運転技術の共同研究を進めてきた。これまでに油圧ショベルの自動運転システムを共同開発し、ダンプトラックへの土砂積み込み技術を確立。これらの成果を基盤に、山岳トンネル工事で用いるブレーカーショベルへ自動運転システムの適用に取り組んでいる。今回、実トンネル環境であたり取り作業の自動化技術の動作検証を実施した。
山岳トンネル工事では、発破後の切羽岩盤に生じる凹凸のうち、設計断面から突出した箇所(あたり)をブレーカーショベルで除去するあたり取り作業を行う。従来は重機オペレーターと作業員の二人で行い、掘削直後の切羽付近で目視確認を伴うため、肌落ち災害のリスクが課題だった。安藤ハザマは2024年、トンネル切羽のあたり箇所をリアルタイムに把握できる「あたり検知システム」を開発しており、今回はこのシステムとコベルコ建機が開発中の自動運転システムを組み合わせた。
新技術は、自動運転システムを搭載したブレーカーショベルにあたり検知システムを追加し、両システムを連携させることであたり取り作業を自動で行う。あたり検知システムで取得したブレーカーショベルの自己位置や姿勢、あたり箇所などの情報を自動運転システムへ入力し、ブームとアームの最適な動作経路を自動算出する仕組みだ。
その後、開始操作により、所定の順路ではつり動作を実行する。走行は行わず、同一位置で旋回とブーム/アーム/アタッチメントを制御してあたり取り作業を自動化する。
実証実験は、施工中の山岳トンネル現場で実施した。切羽前に配置した無人のブレーカーショベルに対し、後方からタブレットで自動運転の指示を出し、あたり検知から除去までの一連の動作を確認した。岩盤のあたり箇所を自動で検知し、自動運転システムを搭載したブレーカーショベルで除去する動作を確認した。
検証の結果、岩盤を打撃する動作に関する課題が明らかになり、今後の改良に向けた具体的な検討項目を抽出した。一方で、トンネル特有の限られた作業空間でも、自動で動作するブレーカーショベルが壁面に接触せず、あたり箇所へチゼル先端を適切に誘導できることを確認した。
両社は今後、遠隔化も組み合わせた自動施工技術として検証を重ね、あたり取り作業の安全性向上を目指す。
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