建設現場の排水問題を解決 アクティオが水処理の新技術公開:現場管理(2/2 ページ)
建設現場から出る排水には、濁った水だけでなく、コンクリ由来の強いアルカリ性、工場跡地などではダイオキシン類が含まれることがある。自治体条例などの厳格化もあり、いかに周辺環境に悪影響を及ぼさず、適切な水処理をするかは切実な問題となっている。建機レンタル企業のアクティオは、こうした建設現場の排水問題を解決する最新の水処理機器を提供している。
薬剤不要で10ナノの粒子を捕捉、厳しい基準をクリアする「ナノセパレーター」
最新機器としては、2026年6月15日にレンタルを開始したアクティオオリジナルの特殊排水処理装置「ナノセパレーター」だ。薬剤(凝集剤)を一切使用せずに、物理的なろ過のみで高度な水処理を実現した。
装置内部には、ストロー状の極細管を束ねた「UF(ウルトラフィルトレーション)膜」を6本搭載。膜にポンプで圧力をかけた排水を通すことで、10ナノメートルレベルというウイルスやバクテリア、アスベスト、さらに鉛やヒ素、六価クロムといった有害物質まで物理的に除去できる。
深沢氏はナノセパレーターが生成する水の清浄度について、「水道水の濁度基準は『2』だが、ナノセパレーターでろ過した水はほぼ『0』になる」と解説した。
ダイオキシン類に関する極めて厳しい排水基準「10pg-TEQ/L」をクリアする性能も備える。薬剤を使わないため、処理水に余計な化学成分が残留しない。深沢氏は、飲料水としての利用はできないもののとした上で、「現場のトイレなどの生活用水としては十分に活用できる」と資源循環のメリットを語った。
アクティオのナノセパレーターは、サイズ面でも優位性がある。ナノセパレーターは、複数の装置を組み合わせる従来の方式に比べ、設置面積を約半分以下に抑えられる。3300(幅)×2000(高さ)×2000(奥行き)ミリのコンパクトなサイズは、地下水くみ上げによる土壌回復工事など、スペースが限られた現場でも高度な処理を可能にする。
薬品自動注入システムが実現する圧倒的な効率化
高度な水処理を支えるもう1つの革新が、濁水処理装置向け「薬品自動注入システム」だ。
従来の濁水処理では、PAC(ポリ塩化アルミニウム)や高分子凝集剤といった薬剤の投入量を作業員が頻繁に調整する必要があった。アクティオが開発したシステムは、センサーで原水の濁度や処理後の水質をリアルタイムに検知し、水質の変化に合わせて最適な薬剤量を自動でコントロールする。
検証の結果、薬剤補充の作業時間を従来比で88%低減し、薬剤の使用量自体も78%削減することに成功した。また、夜間や休日に排水がきれいになると、自動的に注入をストップし、環境負荷の低減とコストカットにつながる。
システム自体は既存の装置に後付けすることも可能で、インターネットを通じた遠隔監視にも対応する。

濁水処理装置のとなりにある灰色のボックスが自動濁水処理を行う制御部。濁水処理装置に設置したセンサーや機器類からの情報を分析し、薬品の注入量を自動的にコントロールする。内部のPLCに薬品の注入テーブルなどがプログラミングされている他に、水処理の効率化に寄与する機器としては、「pH処理装置」も提供している。原水に炭酸ガス(二酸化炭素)を注入してpH値を調整するタイプで、展示品は1時間あたり6000リットルを処理する。
アクティオの水処理技術は、建設現場に留まらず、災害時の生活用水確保や環境保全など、社会の広範なニーズに応える。災害時には河川水をナノセパレーターでろ過し、飲料水専用装置と組み合わせ、貴重な水資源を確保する活用も想定されている。
セミナーの最後には、今後はナノセパレーターの小型版(処理能力毎時2.5立方メートル)を開発する方針についても言及。環境規制の厳格化と人手不足という二大課題に直面する建設業界で、アクティオが提唱する「環境負荷低減」と「生産性向上」の共存は、これからの現場でスタンダードとなっていくかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“酷暑日”にも負けない建設現場:6分でクーラー付き休憩所が出現 熱中症対策義務化に応じるアクティオの「暑熱対策」製品群
気象庁は2026年4月、最高気温40度以上の日を「酷暑日」と呼称することを決定した。近年は40度超えの日が非日常ではなくなるほど増え、屋外作業が主の建設業界にとって暑さ対策は最優先事項となっている。建機レンタル大手のアクティオは、6分で設営可能なテント型休憩所「冷える〜む3」をはじめ、さまざまなアプローチで酷暑日を乗り切る暑熱対策製品を提案する。
AI:アクティオ、日本IBMと調達業務をAIで高度化 2026年9月に運用開始へ
アクティオは、日本IBMの支援のもと、AIを活用した調達業務の高度化に着手した。見積書の確認から調達システムへの発注情報登録までをエンドツーエンドで自動化する仕組みを構築し、2026年9月から都度見積もりによる間接材調達業務への適用を開始する。
BIM:建設生産プロセスの連携を強化する「Autodesk Forma」 設計初期からAI成果予測も可能に
米Autodeskは、米国テネシー州ナッシュビルで開催したグローバルカンファレンス「AU 2025」で、建設向けクラウド環境を「Autodesk Construction Cloud(ACC)」から「Forma」へ統合すると発表し、2026年3月に公式リリースした。AIによる解析や設計の効率化など、次世代プラットフォームの詳細と、グローバルでの建設業界の課題解決策をレポートする。
AI:清水・竹中らが8億円出資 ゴーレムの建設AIプラットフォーム提供開始
ゴーレムは、清水建設や竹中工務店など5社から総額8億円を調達し、建設AIプラットフォーム「Gorlem Platform」の本格提供を開始した。建設現場にあふれる見積書や発注書などの非構造化データをAIで高精度に処理し、建設コスト分析やCO2算定に役立てる。新たに図面チェックや施工計画など4つのアプリも追加し、今後は建設業の生産性向上とカーボンニュートラルの同時達成を目指す。
スマートメンテナンス:96%の自治体で水道料値上げに WOTAが上下水道に依存しない水循環システムとファンドで自治体支援
WOTAは、上下水道の老朽化に伴う自治体の財政悪化を防ぐため、資金面で支援するファンド「Water 2040 Fund」を立ち上げた。大規模な水インフラに依存しない独自開発の「分散型水循環システム」と、その導入費用などを拠出する100億円規模のファンドの両輪で、水道管網の更新や財源確保に課題を抱える自治体でも、持続可能な次世代水インフラを整備可能になる。
現場管理:現場の無線混信を解消する「玉掛合図無線システム」レンタル開始、竹中らが開発
日本電気通信システムと竹中工務店は、現場の無線混信の問題をプライベートLTEで解消する「玉掛合図無線システム」を開発した。レンタル会社のアクティオを介して、大規模新築工事現場向けのレンタル事業を開始している。
産業動向:“3K”を払拭するアクティオの長野新工場が稼働開始 建機洗浄の自動化など最新設備を導入
アクティオは長野県千曲市に、国内最大級の整備拠点「長野ちくまテクノパーク統括工場」を開設した。最新の自動化設備による省力化に加え、自社での車検対応で整備技術も高度化。他にもヘリポートなどBCP対策も有し、地域社会との共生も目指す。



