地場コンの現場監督によるボトムアップ型DX、成功の第1歩は「仲間づくり」から:地場ゼネコンのDX(3/3 ページ)
建設DXを全社展開するには現場にどう根付かせるという視点が欠かせない。加和太建設は、若手社員の主体性を引き出す人材育成や失敗を許容する組織文化で定着を図ってきた。
1社だけでは業界は変わらないという危機感
加和太建設のDX推進は自社にとどまらず、静岡の地場ゼネコンである木内建設、須山建設と共に、建設DXコミュニティー「ON-SITE X」を運営している。設立の背景には、面白い技術を持つスタートアップがあっても業界特有の慣習や構造がネックとなり現場に入り込めずにいるという問題意識に加え、人材不足や4週8休対応、技術継承といった課題などの建設業特有の課題に対し、「1社だけ頑張っても業界は変わらない」という危機感があった。現在は約120社が参加する一大ネットワークに成長している。
年1回の成果発表会や、参画企業同士がモデル企業の現場に訪問して情報交換する場づくり、地方分科会、テーマ別勉強会なども実施。他社のやり方を見ることで「自分ならこうする」という気付きが生まれ、会社や地域の枠を超えた交流につながっている。
DXで「安全で、楽になって、利益も出る」状態を当たり前に
重田氏は「DXによって安全で、技術者や技能者が楽になって、利益も出る。その状態をどの現場でも当たり前に実現したい」と語る。
地場ゼネコンが、大手ゼネコンのような研究開発体制や予算を確保するのは難しい。加和太建設では現場で成果を生む技術を見極め、人を育てながら定着させる地道な挑戦を積み重ねてきた。
技術選定では「現場で本当に使えるか」を軸に置き、カタログスペックよりも実際に運用する若手社員の評価を判断材料にする。導入コストの効果は数字で見えにくくても、手戻りによる損失を防ぐという観点で「必要な投資」と位置付ける。育成では「100のうち説明するのは10」にとどめることで、若手が自走する余地を残す。成功も失敗も共有することで、次に生かす。こうした現場起点の積み重ねが、加和太建設のDXを支えている。
DXを始めるなら「まず1人の仲間」を探せ
今後について重田氏は「施工や品質管理でAI活用の可能性を探りたい。また、現在はコストの問題で難しいが将来は遠隔操縦にも挑戦してみたい。地域で先んじて新技術に挑戦し、地域建設業だからできる『面白いこと』に取り組んでいく」と展望を語った。
重田氏のような推進役がいない会社はどうすればいいのかという問いに対し、重田氏は「トップダウンで社長が『やれ』と言ってもなかなかうまくいかない。同世代や近い立場の人間が『一緒にやろう』と呼びかける方が盛り上がる。難しいところでもあるが、まず1人仲間を見つけるのが近道だ」とアドバイスを送った。
現場の負担軽減から始まった加和太建設の建設DXは、現場起点の試行錯誤を重ねながら今後も進化していく。
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