ドローンも“シェア”する時代に ソフトバンクが提案する業務に組み込む防災UAV活用:Japan Drone 2026(2/2 ページ)
ソフトバンクは「Japan Drone 2026」で、総合ドローンサービス「SoraBase」の防災向け新ソリューションを披露した。コストを抑える「共同利用モデル」や平時から備える「防災パッケージ」などのサービスで、ドローンを単なるICTツールの1つではなく、防災業務のインフラとして捉えることを提案した。
災害時に備え、平時から飛行ルートを整備
SoraBaseのもう1つのサービスとなるドローン防災パッケージは、自治体向けの災害対応ソリューションだ。
近年、激甚化する自然災害で、発災直後の初動対応の遅れは、被害拡大に直結しかねない。空を飛行して移動するドローンは、道路の寸断や土砂崩れなどで人が立ち入れない場所でも上空から被害状況を視認できる。発災直後に人員を現地へ派遣することなく、広域の被害状況を安全かつ迅速に把握できる点が強みだ。
また、孤立地域が発生した場合は、支援物資の輸送にも有効に働く。2024年に発生した能登半島地震では、倒壊家屋で被災者の探索や救援物資の空輸、通信インフラの支援など、さまざまなシーンでドローンが活躍したことは記憶に新しい。
しかし、災害が発生してから飛行ルートや運用体制を検討していては、ドローンの機動力を十分に生かすことは難しい。そこでソフトバンクが提案するのが、平時から災害時のドローン活用に備えるドローン防災パッケージだ。災害発生時に想定される飛行ルートの設計や通信環境の確認、住民説明、オペレーション検証までを総合的に支援する。
飛行ルート作成については、まず災害時に孤立する可能性のある拠点を確認し、リスト化する。支援物資を届ける場合は、どこに届けるのかを事前に整理する。次に、安全かつ確実な飛行ルートを構築し、災害時でも安定的にドローンを運用できるように、機材選定や電波調査などを通じて通信環境も検証する。
その後、デモ飛行や住民説明などを重ね、地域住民や自治体が安心して運用できる体制を整える。こうした運用前の複数プロセスを経て、災害時に活用できる飛行ルートや運用計画として納品するという。
ソフトバンクは2021年から、国土交通省のスマートシティーを推進するモデル事業に選定された和歌山県すさみ町のコンソーシアムに参画し、ドローンを活用した防災事業に取り組んでいる。2025年1月には、南海トラフ地震による津波発生を想定した平時と有事の防災訓練と実証実験を実施し、遠隔操作による自動飛行ドローンを使った救援物資配送を検証した。今回のパッケージには、実証で得た知見も反映されているという。
防災ソリューションの広がりを示す展示
ブースでは、防災対策に役立つ関連ソリューションも展示した。その1つが、ドローンとAI、スマートグラスを連携させた救助支援システム「3rd-EYE(サードアイ)」だ。
3rd-EYEは、ドローンのライブ映像をAIが自動解析し、捜索対象の位置を特定する。特定した位置情報や映像情報は、現場指揮所に設置されたタブレットや隊員が装着するスマートグラスに表示できる。
また、現場で活動する隊員の視界を現場指揮所で共有することもできる。現場状況や位置情報を把握しながら指示を出したり、デジタル地図を用いて目的地を示したりできる。これにより、ドローンが発見した要救助者の位置を現地の隊員にリアルタイムで共有し、救助活動の迅速化につなげられる。
タブレット上に集約された情報のイメージ。左上がスマートグラスに搭載されたカメラの映像で隊員の視界と重なる。左下はドローンからの映像。右側には、隊員の視界や位置情報、ドローンの映像をもとに、要救助者の位置などをデジタル地図上に表示
ブース担当者は「現場の救助隊員はスマートグラスを装着するだけで、ドローン映像をAIが解析した結果を確認できる」と説明し、救助活動に取り入れやすい手軽さも特徴に挙げた。
今回の展示でソフトバンクが示したのは、ドローンを単なる空撮機材としてではなく、巡視や点検、防災、救助支援までを担う業務基盤として活用する方向性を示した。ドローンの遠隔運航や共同利用、AI解析、スマートグラスとの連携が進めば、自治体やインフラ管理者にとって、現場確認や災害対応の在り方を見直す契機にもなる。ソフトバンクは、通信やAIの技術を組み合わせながら、ドローン活用の社会実装をさらに進めていく考えだ。
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