地下インフラを3Dで一元管理する「デジタル台帳」、日建設計と四日市市が全国初整備:スマートメンテナンス(2/2 ページ)
日建設計と三重県四日市市は、市内の地下埋設物を3Dモデル化した「デジタルインフラ台帳」の運用を開始した。両者によると、インフラ事業者間で3Dデータを共有できる連携体制を構築したのは日本初だという。3Dモデルには種類や材質などの属性情報を付与し、現場でのAR投影も可能で、インフラ維持管理の高度化と効率化が期待される。
四日市市は先立つこと2022年度から、国土交通省が進める全国の都市を3Dモデル化するプロジェクト「Project PLATEAU(プラトー)」に参画。日建設計とのデジタルインフラ台帳の整備は、その一環で2023年度からスタートし、電気やガス、通信、上下水道の埋設物事業者とも協議を重ね、運用ガイドラインを策定した。データの管理方法や地下埋設物更新データの提供ルール、データ閲覧の方法などを細かく定め、機密性の高い情報を共有して活用できる基盤づくりに力を入れた。
データは埋設物管理者から提供された情報に基づき、Esriが提供する「ArcGIS(アークジーアイエス)」のクラウドで運用する。データ作成や更新、運用管理は市の道路管理課が担い、現状では各インフラ管理者だけに限って閲覧できる仕様だ。
3Dモデルには、管理事業者名や埋設物の種類、材質などの属性情報も一緒に付与し、工事計画や維持管理の業務効率化に役立てる。さまざまなデータと組み合わせることで、地下インフラの異常検知、事故や災害発生時の対応の迅速化などへの活用を見込む。
ARによる埋設物の可視化でインフラ更新をデジタル化
日建設計と四日市市などはデジタルインフラ台帳による効果として、「3Dモデルで埋設物の敷設状況が視覚的に可視化できるため、個別の技術力に頼らず、共通認識を持てるのがメリット」と強調する。
また、AR表示を用いて見比べれば、設計案を現地の状況を含めて精緻に確認できたり、関係者間の合意形成で相違点をその場で解消したりできる。災害時にはマンホールやバルブが土砂で埋まった場合でも、位置をARで特定して速やかな復旧に着手できる。
今後は、災害時の輸送道路となる国道へも範囲を拡大することを協議しており、地域のインフラを保全する環境整備に注力する。
日建設計 都市・社会基盤部門 シビルグループ CM・測量部長の中村出(いずる)氏は、周辺で建設プロジェクトなどを検討する民間事業者からの需要も高いと見ている。機密性が高い情報であるために関係者間の協議が必要としながらも、「さまざまな工事への有効性などを示していきながら、プロジェクトを継続していきたい」と意欲を示す。
全国的に水道管やガス管の更新が課題となる中で、インフラ事業者の垣根を越えて業務効率化を目指す全国初のプロジェクトが先駆けとなり、他の地方自治体でも3D都市モデルの整備とともに、道路地下埋設物の老朽化対策が進むことが期待される。
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