カメラを持って歩くだけで施工管理業務の一部を自動化 フィジカルAIエージェントの提供開始:施工管理
Zen Intelligenceは、建設領域のフィジカルAIエージェント「zenshot AI」の提供を開始した。建設現場でカメラを持って歩いて撮影するだけで、現場の状況を理解し、施工管理業務の一部を自動化する。
Zen Intelligenceは2026年4月14日、建設現場でカメラを持って歩いて撮影するだけで現場の状況を理解し、施工管理業務の一部を自動化するフィジカルAIエージェント「zenshot(ゼンショット) AI」の提供を開始したと発表した。
Zen Intelligenceは、360度カメラで撮影した建築現場の画像から360度ビューを自動作成する施工管理支援サービス「zenshot」を展開。大手ハウスメーカーなどに導入されている。
今回提供を開始したzenshot AIには、経済産業省とNEDOが推進する生成AI基盤モデル開発支援プロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」で実施した建設現場特化型VLM(視覚言語モデル)の開発成果を活用。画像データ内の対象物認識にとどまらず、現場全体を空間として捉え、位置情報や図面との対応関係、過去の撮影との連続性を踏まえて、施工管理業務に必要な判断につながる情報処理を可能にした。
4つの機能で施工管理業務を支援
zenshot AIの主な機能は、安全指摘、工程進捗、品質検査、施工管理記録の作成支援の4つ。
安全指摘では、撮影した現場データをAIが巡回し、危険箇所や安全措置の不備を指摘。指摘は現場ビュー上で可視化し、見落としを減らして安全管理を効率化する。工程進捗では現場の時系列変化をAIが理解し、進捗を自動判定。計画と比較して工期遅延の兆候を可視化する。今後は、BIM照合により進捗を定量化する機能の開発も予定している。
品質検査では、設計図面から検査対象箇所をAIが抽出し、検査基準と現場データを照合して検査を自動化する。現場を網羅的に検査することで、施工管理者の経験に依存しない品質管理を支援し、管理品質の平準化を図る。施工管理記録では、日々の施工状況と設計図面をAIが読み込み、施工管理記録写真を抽出する。自社の仕様だけでなく、各現場の仕様に沿った施工管理記録の生成も可能だ。
施工管理業務は、安全、品質、工程に関する多面的な確認や判断を行う必要があり、現場の状況を踏まえた適切な指示や記録作成が求められるため、経験の差が業務品質に表れやすいとされている。確認、判断、記録業務の一部をAIが担うことで、経験が浅い現場監督でも一定水準の施工管理業務を遂行できる環境の実現を目指す。
今後は、GENIACで開発した建設特化型VLMを基盤に、現場理解の精度向上と対応領域の拡張を進める。
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