安藤ハザマがAI活用の構造設計支援システム「BROWNIE」を社内標準化:AI
安藤ハザマは、AIとRPAを活用した構造設計支援システム「BROWNIE」を、構造設計部門の標準システムとした。基本設計を効率化することで、経験によらず熟練構造設計者と同等の成果を出せる設計環境を構築する。
安藤ハザマは2026年3月19日、リバネス、ヒューマノーム研究所、ソーラーテックと共同開発したAIとRPAを活用する構造設計支援システム「BROWNIE(ブラウニー)」を、構造設計部門の標準システムにしたと発表した。
基本設計の効率化を通じ、経験に依存せず熟練の構造設計者と同等の成果を目指せる設計環境を整備する。
建築の構造設計では、一貫構造計算プログラムを用いて柱や梁(はり)の部材の大きさなどを決定するが、従来は部材情報を手入力で変更しながらトライアンドエラーを繰り返す必要があり、多くの時間を要していた。成果品の完成度が担当者の知識や経験に左右される点も課題だった。
安藤ハザマは、短期間で精度の高い構造計算結果が得られるRPAを用いた自動計算システムを構築。RPAシステムをベースに計算時間と施工性の問題を解決するAI「AIグルーピングシステム」を開発した。
AIグルーピングシステムとRPAシステムを併用し、構造設計の基本設計業務を自動化することで、作業時間の大幅な削減と品質の均質化を図る。主な機能は、柱と梁の仮定断面の自動算出、初期設計段階における構造躯体の概算見積資料の作成支援、複数ケースの比較検討による最適な構造計画の選定支援だ。
2019年に開発を開始し、2022年に初版の試運用を開始した。構造設計者の意見を反映して改良を重ね、2023年にはS造ラーメン架構用システムの本格運用に移行。その後は他の構造や架構にも順次展開している。2026年2月時点の社内利用者率は80%に達し、適用可能な全案件のうち90%で採用された。
対応する構造種別は、S造、RC造、ハイブリッド造(RC柱+S梁)で、対応する架構形式は、ラーメン架構、ブレース付きラーメン架構(S造)、耐震壁付きラーメン架構(RC造)。構造種別や架構形式の比較検討を迅速かつ柔軟に進められ、コストパフォーマンスに優れた設計提案につなげる。
今後は、さらに自動化と高速化を進め、より効率的な構造設計ツールとして進化させる。加えて、若手技術者の教育ツールとしての活用も進め、構造設計分野における技術伝承と人材育成につなげる考えだ。
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