現況3D画像とBIM/CIMモデルを統合、施工管理を効率化 東急建設が全国10カ所で試行:CIM
東急建設は、Matterportの3Dスキャンカメラとクラウドサービスで取得した現地の3Dウォークスルー画像に、計画中の3Dモデルを重ねて閲覧できる統合システムを独自開発した。現在、渋谷駅やとうきょうスカイツリー駅など、全国10カ所の土木/建築現場で試行導入している。
東急建設は2026年3月16日、Matterport(マーターポート)の3Dスキャンカメラ「Matterport Pro3」と3DデジタルツインAI合成処理クラウド「Matterport Cloud」で取得した現地の3Dウォークスルー画像データに、計画中の3Dモデル(BIM/CIMモデル)を重ね合わせて閲覧できる統合システムを開発したと発表した。
現況の3D空間と将来の計画モデルを同一画面上で比較できる点が特徴で、Matterportの3D画像とBIM/CIMモデルを統合するシステムは国内初という。
東急建設は、遠隔から現場の状況を確認するツールとしてMatterportを活用している。しかし従来の機能では現況の把握にとどまり、完成形や仮設計画の3Dモデルを重ねた検討は困難だった。
今回開発した統合システムは、Matterportのウォークスルー機能を活用し、現場を歩くような感覚で3D空間内を移動しながら設計モデルを重ねて確認できる。ドールハウスビュー機能により建物などを俯瞰視点で把握可能だ。
現地の詳細な3D空間データと設計/計画モデルを重ね合わせることで、2D図面では把握しにくい既存構造物との干渉や制約を事前に確認/修正できるため、施工段階での手戻り防止や施工品質の向上、工期短縮につながる。
加えて、図面情報を直感的に共有でき、工事の進捗や完成イメージを視覚的に把握しやすくなるため、発注者や関係行政機関、地域住民とのコミュニケーション円滑化に役立つ。さらに、PCやタブレット端末から現場状況と計画を照合できるため、現場監督の移動負担軽減と業務効率化を実現する。
渋谷駅やとうきょうスカイツリー駅で試行
東京メトロ銀座線「渋谷」駅や東武鉄道「とうきょうスカイツリー」駅の施工現場では、施工段階や完成イメージを現場内外で分かりやすく確認でき、計画モデルとの重ね合わせによって既設構造物との整合性検証や計画の精緻化を実現。発注者や行政機関、近隣住民との協議/調整において円滑な合意形成に貢献した。
東急建設は今後、統合システムの初期版運用で得た知見を基に機能改善を進める。国土交通省のBIM/CIM適用工事における義務項目/推奨項目での活用を通じて効率化を進め、土木分野での活用拡大を目指すとともに、建築現場や不動産事業への展開を図る。
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