日立がエレベーター用永久磁石モーターのリサイクル網を構築:サーキュラーエコノミー
日立製作所と日立ビルシステム、日和サービスは、エレベーターのリニューアル工事で交換する永久磁石モーター巻上機を対象とした再利用のリサイクル網を構築した。
日立製作所と日立ビルシステム、日和サービスは2025年12月、サーキュラーエコノミー」推進の一環で、日立製作所製エレベーターのリニューアル工事で交換する永久磁石モーター巻上機を対象としたリサイクル網を構築し、運用を開始した。レアアースなどの循環利用を促進し、環境負荷低減に貢献する狙い。
リニューアル工事で取り出した磁石を再資源化
循環利用の新スキームでは、日立ビルシステムがエレベーターのリニューアル工事で回収した巻上機から永久磁石モーターを取り外し、日立製作所と日和サービスが分解と減磁処理を担う。取り出した磁石は社外の専門メーカーで再資源化し、再生磁石として利用する他、銅線や鉄部材も分離して再利用する。
永久磁石モーター巻上機のリサイクル量は、モーター総重量で年間約80トンを見込む。将来は、エレベーターのリニューアル増加に伴って年間約650トン規模まで拡大する見通しだ。回収には製品納入時の戻り便を活用し、輸送専用トラックの増便を避けることで、環境負荷とコストの抑制を図る。
分解工程では、日立ビルシステムの水戸事業所で分解専用職場を新設した。熟練技術者の知見を生かし、ブレーキ装置や綱車を含む複雑な構造を短時間で解体。日和サービスが、日立製作所の水・環境事業統括本部が有するレアアースリサイクル技術と解体技術の支援を受け、モーター内部構造に応じた磁石取り出し技術を開発した。
永久磁石モーターは、1999年以降に製造された日立製作所製の機械室レスエレベーターに採用されている。初期製品が法定耐用年数17年を迎え、今後リニューアルが本格化すると予測されるため、今回の再資源化に踏み切った。
日立グループは今後、エレベーター用にとどまらず、グループ内で扱う他の産業用モーターにも対象を広げる方針だ。
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