大阪・関西万博を支えた建材たち 技と素材の“共創”で広がる建築の可能性:大阪・関西万博(3/3 ページ)
2025年10月13日に184日間の会期を終えて閉幕した大阪・関西万博では、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、世界各国やグローバル企業が最新技術を競い合った。その舞台裏では、日本の建材メーカーが知恵と技術でイベント成功を支えた。本稿では「住まい・建築・不動産の総合展 BREX関西」の建材ナビ特設コーナーに出展した企業の中から、万博会場で採用された素材と技術を紹介する。
織物壁紙が迎賓館を彩る 94年の伝統と新技術で挑んだ“光る壁紙”
1932年創業の小嶋織物は、織物ふすま紙や織物壁紙の専門メーカーとして、伝統技術と現代的なデザインを融合させた製品を手掛ける。国内の壁紙市場の約99%をビニール製が占める中、わずか0.2%しか存在しない“織物壁紙”を作り続け、天然繊維ならではの風合いと環境性が内装業界で支持されている。
万博ではサプライヤー協賛として参画し、SDGsを意識した天然素材の壁紙を提案。迎賓館の廊下壁面が、小嶋織物のブランド「KYOTO IZUMI WALLCOVERING」の織物壁紙で施工された。日差しや照明を柔らかく受け止める、豊かな色合いと深い風合いが特徴で、海外要人を迎えるにふさわしい上質な空間を演出した。また、焼却しても有害物質を出さず、土に還る“循環型建材”としても話題となった。
万博の特許庁出展イベント「明日を変える知財のチカラ」では、未来志向の技術として「光る織物壁紙」を出展。導電糸を織り込んだ壁紙に万博公式キャラクター「ミャクミャク」をプリントし、LEDを配置して電流を流すことで発光させた。織物がほのかに光をまとう姿に多くの来場者が足を止め、普段意識されにくい“壁紙”という存在を再認識させた。
「壁紙を背景に写真を撮ってもらえるなんて、これまでなかったこと。多くの方に織物壁紙の良さを知ってもらえたのが何よりうれしい」と取締役の小嶋恵理香氏は喜びを口にする。今後は導電繊維技術を発展させて特許化を進める他、世界各国のテキスタイルを建築素材として再構築する新たな事業にも挑戦していくという。
再生PETとLEDで生まれ変わるサイン 布地サイネージ「LUFAS」が万博を照らす
トライは、再生素材とLEDを融合させたリディアワークスの布製(ファブリック)サインシステム「LUFAS(ルーファス)」をはじめ、さまざまな屋内外看板(サイン)を製作/販売する東日印刷のグループ企業だ。
LUFASは、従来のアクリル製サインに比べてCO2排出量を約90%削減できる環境配慮型製品で、布地は100%PETリサイクル布から作られている。インクを直接繊維の内部に染み込ませる昇華転写技術を採用しており、柔らかい素材のため、折りたたんでの運搬や洗濯も可能だ。
展張構造によって張り具合の調整が可能なシステムのため、簡単にシワなくきれいに仕上げられる。トライの印刷から転写、ラバー縫製までを自社一貫で行う体制が、デザイン性と安全性を両立させている。
軽量のために設営も容易で、布をLEDフレームに張り込み、内部から均一にLED発光させる構造により、布の交換は工具不要で行える。展示会や商業施設での利用が進んでおり、万博ではヘルスケアパビリオン内の企業ブースサインとなった。20週間の会期中、約15社が入れ替わりで出展するたびに布のデザインを変更し、その都度トライに印刷の依頼があった。
担当者は「布なので軽く、輸送や施工の手間も掛からない。展示会でのサインは使い捨てが多いが、再利用できる点も好評だった」と振り返る。
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