住宅向け床下点検ヘビ型ロボットを実用化、電通大／大末建設／ミサワホームらが共同開発：スマートメンテナンス

ミサワホーム、電気通信大学、大末建設が共同開発した住宅向けの床下点検ヘビ型ロボットが実用化段階に移行した。戸建住宅の床下点検を担う作業員の身体的負担の軽減と労働環境の改善、安全性向上、作業効率向上を目指す。

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　ミサワホームは2025年12月16日、電気通信大学、大末建設と共同開発した床下点検ヘビ型ロボット「ユカダイショウ」が、実用化段階に移行したと発表した。長時間にわたるうつ伏せ姿勢での作業などが求められる戸建住宅の床下点検をロボットで代替することで、作業員の身体的負担の軽減や安全性の向上、点検品質の安定化を図る。

共同開発した床下点検ヘビ型ロボット「ユカダイショウ」。名前の由来は家の守り神とされるアオダイショウから　出典：ミサワホームプレスリリース

　ユカダイショウのベースとなったロボットは、2022年9月に電気通信大学大学院 情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 教授 田中基康氏が大末建設と共同開発した。2023年度に大末建設の建設現場の地下ピット点検に導入し、その後、住宅での活用を視野にミサワホームが参画し、3者による産学連携体制を構築した。

　ユカダイショウは従来モデルから小型化し（高さ40％／横幅25％／長さ30％削減）、一般家屋の狭い床下空間でもスムーズな通過を可能とした。多連結構造を採用し、曲がり角や段差の安定走行を実現。基礎クラックやシロアリ被害の有無、配管からの水漏れ、硫酸塩結晶による基礎劣化など、多岐にわたる戸建住宅の劣化診断に対応する。

　配管などの障害物を半自動で乗り越える動作機能に加え、本体高さ150ミリの薄型設計で配管下の通過にも対応し、床下環境への適応力を高めている。横転や障害物への引っ掛かりなどの異常状態からも容易に復帰が可能だ。

　前面センサー（LiDAR）を使用し、センサーと事前に読み込ませた図面を連動させることで、基礎内部で自己位置を推定。オペレーターは、ゲームコントローラーで直観的に操作が行える。可動域パンチルト全方位360度カメラと駆動制御用PCを搭載している。

　サイズは、約1150（長さ）×150（幅）×150（高さ）ミリで、重さはバッテリー含め約7.2キロ。最高速度は秒速250ミリ。バッテリー駆動で、連続稼働時間は約70分。

　今後は賃貸住宅の床下点検やリフォーム時の点検営業、災害時の点検などにも活用し、幅広い住宅維持管理分野への展開や導入を目指す。

操縦支援インタフェースの画面（左）、ロボット点検で発見されたクラック（右）　出典：ミサワホームプレスリリース