踏切で一般車両に「先詰まり」の注意喚起、AI画像解析とETC2.0活用 名鉄ら5社が愛知で実証:AI
名古屋鉄道など5者は、愛知県半田市でAI画像解析とETC2.0を活用した踏切注意喚起システムの実証実験を行う。AI画像解析により踏切先の道路混雑を検知し、ETC2.0車載器を搭載した一般車両が踏切へ進入しようとした際に「踏切の先詰まりに注意してください」といった音声で注意を呼び掛ける。
名古屋鉄道など5者は2025年12月8日、AI画像解析とETC2.0を活用した踏切の注意喚起システムに関する実証実験を愛知県半田市で行うと発表した。踏切内に自動車が進入/停滞する事故の防止を目的に、ETC2.0車載器を搭載した一般車両に対して音声で注意を促す仕組みを検証する。実証期間は2025年12月22日から2026年2月28日まで。
鉄道踏切は線路と道路が交差し、列車と自動車や歩行者が接触するリスクがある。全国では年間約200件の踏切事故が発生し、死傷者が100人を超えている他、列車の運休や遅延を伴うことから社会的影響も大きい。このため、名鉄など交通に関わる事業者が連携し、AI画像解析を活用した事故防止システムの構築を目指している。
実証の対象は、愛知県半田市宮路町に位置する名古屋鉄道の住吉町1号踏切。名古屋鉄道が2021年度から導入を進める遠隔監視型の踏切監視システムに、AI画像解析とETC2.0技術を組み合わせ、踏切の前方道路の先詰まりを検出するとともに、踏切に進入する車両に対し「踏切の先詰まりに注意してください」など音声で注意喚起する。踏切内の車両停滞を抑止することで、接触事故の発生防止につながげる。
参画企業/団体は、名古屋鉄道、名鉄EIエンジニア、トヨタシステムズ、道路新産業開発機構、東邦電機工業の5者。名古屋鉄道は実験場所の提供とシステム有効性の検証、名鉄EIエンジニアはシステム設計および機器導入と試験など、トヨタシステムズはAI画像解析システムの開発、道路新産業開発機構は民間事業者が利用できるETC2.0路側機の開発、東邦電機工業は踏切状態監視装置との連携システム開発を担う。
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