愛知県東浦町でAI活用の道路メンテを実証 マップフォーとNTTフィールドテクノ:スマートメンテナンス
マップフォーとNTTフィールドテクノは、愛知県東浦町と共同で、AIを用いた画像/LiDAR解析技術を活用して、道路の損傷把握や修繕業務の高度化を目指す実証事業に取り組む。
マップフォーとNTTフィールドテクノは2025年12月8日、愛知県の「スタートアップ活用まちづくり支援事業」において、東浦町の道路維持管理に関する実証実験の支援対象事業に採択されたと発表した。ドライブレコーダーのカメラ画像や車載LiDARで取得した点群データを用い、AIで路面劣化診断や修繕の優先順位付けを行うことで、道路維持管理の効率化を図る。
地方自治体では道路設備の維持管理必要な人材や予算の不足が課題となっている。東浦町でも損傷箇所や交通インフラの老朽化に関する情報管理が多岐にわたり、現地確認や優先順位付けの判断に時間を要していた。これが修繕対応の遅れや職員負担の増加につながっていたという。
事業では、マップフォーやNTTフィールドテクノの業務車両、東浦町のパトロール車両にドライブレコーダーや点群計測機器を取り付けて路面データを取得。データはデータ管理プラットフォームに蓄積する。また、住民や職員が損傷箇所を報告できるフォームを作成し、申告情報もプラットフォームに蓄積。データはリスト形式で確認でき、レコードごとに撮影画像や管理項目情報を閲覧可能。マップ形式での表示にも対応する。
補修工事の執行に当たっては、AI劣化診断結果に基づき、定量的な優先順位付けを実施する。設計書の簡素化に向けた指示書の自動生成にも取り組む。
実証では、マップフォーがLiDARで取得した点群データを使用して路面損傷状況を解析し、NTTフィールドテクノがドライブレコーダーによる道路付属物などのデータ収集と可視化、受付管理ツールの開発を担う。実証を通じて道路施設状況を網羅的に把握し、修繕業務を効率化/均質化することで、持続可能で安全な道路インフラの実現を目指す。実証期間は2025年11月から2026年2月までを予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
スマートメンテナンス:ドラレコの画像から電柱や標識の3Dデータ生成で位置特定、街全体の3D管理が可能に
NTTは、ドライブレコーダー画像から、電柱や標識、街路樹などインフラ設備の位置を特定する技術を確立した。画像から3Dデータを生成し、NTT保有の3Dデータと重ね合わせることで、街中のあらゆるインフラ設備の高精度な位置を特定できる。将来は街全体を3D管理し、3D都市モデルなどと連携した都市計画や防災対策、自動運転、ドローン航路設計などへの活用も見込める。
スマートメンテナンス:空洞点検ロボと劣化予測技術で下水管路維持管理を高度化、熊本市で実証中
前田建設工業、熊本市上下水道局、管清工業の3者は、硫化水素の生成から劣化までをシミュレーションで診断する「硫化水素劣化予測診断技術」と、管路周辺の空洞調査を行う「無人点検ロボット技術」の有効性を検証する実証を開始した。
スマートメンテナンス:道路陥没の予兆を現地に行かずSAR衛星で捕捉 コスト85%減の点検手法をNTTが開発
NTTは、SAR衛星の電波散乱成分を解析することで、現地調査なしで道路陥没の予兆を捉える手法を実証した。発表によると、従来の車載型地中レーダー探査と比べて約85%のコスト削減が見込める。
スマートメンテナンス:八潮の道路陥没事故を受けた下水道管の全国調査 1年以内に要対策75km、7カ所で空洞確認
国交省は、八潮市の道路陥没事故を受けた下水道管全国調査の結果を公表した。1年以内に対策が必要とされた要対策延長は約75キロで、7カ所で空洞を確認した。
スマートメンテナンス:耐震補強工事の表面処理をロボットで施工、鴻池組が現場実証
鴻池組は、本州四国連絡高速道路の耐震補強工事で、イクシスと共同開発したバキュームブラスト自動化ロボットの現場実証を行い、現場作業の省人化と安全性向上に効果があることを確認した。
スマートメンテナンス:八潮の道路陥没踏まえ、国交省「上下水道DX 技術カタログ」にドローンなど新技術45件追加
国交省は、上下水道施設のメンテナンス高度化や効率化に向けた「上下水道DX 技術カタログ」を拡充した。今回は埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を踏まえ、下水道探査を重点技術と位置付けるなど、AIやドローン、非破壊地盤探査といった計45件の新技術を追加した。
