技研製作所が新圧入機シリーズ展開、デジタル技術で施工を自動化/省力化
技研製作所は、クラウドデータプラットフォーム「G-Lab」を基盤とし、各種アプリと連携して自動化や省力化を支援する圧入機「SXシリーズ」を展開する。
技研製作所は2025年11月26日、建設業界の人材不足や技能継承といった課題に対応する新たな圧入機シリーズ「SXシリーズ」を展開すると発表した。クラウド型データプラットフォーム「G-Lab(ジーラボ)」を基盤とした各種アプリと連携することで自動化や省力化を支援する。
第一弾として、U形鋼矢板400ミリ幅に対応した圧入機「サイレントパイラー ST400SX」と、対応するバッテリー式電動パワーユニット「MUB150を」2026年春に発売する。
SXシリーズはこれまで蓄積した技能者の施工データを基にした「自動運転機能」や、「操作アシスト機能」を搭載。施工品質の安定とオペレーターの負担軽減につなげる。2026年夏には、現場ごとの最適な自動運転をAIが提案する機能の追加を予定。硬質地盤対応の複合機「サイレントパイラー HA400SX」も発売する計画だ。
自動運転支援アプリを介して自動化/省力化を実現
SXは、自動運転や操作支援による安定した施工品質と負担軽減を実現する“Smart support”、現場に応じた専用設計の最適な仕様の機械を提供する“Specialized design”、誰もが扱いやすい設計により持続可能な施工を目指す“Sustainability”の頭文字と、施工現場の変革“Transformation”を表す“X”を冠した名称。
SXシリーズでは、深度ごとの貫入抵抗や所要時間といった施工中の圧入データを収集し、技能者のノウハウをデジタルデータとしてクラウド上に蓄積。データを基に、圧入時に設定する圧入力や圧入スピードなどの値を自動運転支援アプリ「G-Lab Nexus」が自動設定し、圧入機へ転送する。設定値に応じて圧入動作が自動制御されるため品質の安定化が図れる。
また、圧入機の自走をワンタッチで自動化する機能や杭の建て込み/継手嵌合/天端合わせをアシストする機能も搭載した。圧入工程の定型的な機械操作を効率化し、作業時間とオペレーターの負担を軽減すると同時に、誤操作リスクを抑制し、安全性の向上に寄与する。
SXシリーズ第一弾のサイレントパイラー ST400SXは、現行機「F101」から200キロ削減し、引抜力は100キロニュートン増強。打抜サイクル時間を約37%短縮した。動力源には、新開発のバッテリー式電動パワーユニットMUB150が対応し、CO2排出ゼロの圧入施工を可能とする。従来のディーゼルエンジン式に比べて騒音を8デシベル低減し、国土交通省の超低騒音基準を15デシベル下回る83デシベルを達成。大型電源や給電ケーブル不要で現場導入が容易となるため、ゼロエミッション施工の拡大が期待されるという。
2026年夏には、1台で「単独圧入」「ウォータージェット併用圧入」「硬質地盤圧入」の3工法に対応する複合機「サイレントパイラー HA400SX」の発売が予定。特に需要の高いN値50〜250程度の砂礫層や玉石層に最適な軽量化かつコンパクトな機械で、N値250〜600程度の地盤を対象としたF112に比べ2450キロの軽量化を実現し、機動性を高めた。
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