道路設計の基準適合をCIMモデル活用で自動化、2026年10月まで特別価格で販売:CIM
八千代エンジニヤリングとエムティシーは、道路設計照査を自動化する「道路設計照査システム APS-DC」を共同開発した。CIMモデルをもとに、道路構造令に基づく平面線形や縦断線形、横断面、合成勾配、視距などを自動で照査する。2026年10月末までの期間限定で、25%割引の16万5000円(税込の特別価格で提供する。
八千代エンジニヤリングと土木設計ソフトウェアを販売するエムティシーは、道路設計照査を自動化する「道路設計照査システム APS-DC」の提供を2025年10月31日に開始した。
J-LandXMLに対応した単体版と、エムティシー製の道路線形計画システム「APS-MarkIV」と連携するアドオン版を用意しているため、他社製CADを利用する設計者から発注者まで既存の設計フローにスムーズに組み込める。ソフトウェアライセンスの価格は1ライセンス当たり22万円(税込み)。2026年10月31日までは特別価格16万5000円(税込み)で提供する。
建設コンサルタントの知見とITの融合で、道路設計照査を高度化
APS-DCは、道路設計データが道路構造令に基づく平面線形や縦断線形、横断面、合成勾配、視距などの基準に適合しているかを自動で照査するシステム。八千代エンジニヤリングが東京大学と2022年に開発したプロトタイプをベースに改良を加え、照査項目を大幅に拡充した。CIM設計ソフトウェアなどで多く採用されているオープンフォーマットLandXML形式(J-LandXML対応)の3Dモデルデータから必要な情報を抽出し、道路構造令に基づく全項目への適合を自動で照らし合わせる。照査作業のヒューマンエラーを抑制し、設計段階での見落としを防げる。
照査結果は赤色などで問題箇所を明確に表示し、平面や縦断、横断の結果を一枚に集約した「幾何構造照査図」や問題点をまとめた「照査結果項目表」などの多角的な出力に対応する。設計者が修正点を視覚的に把握でき、迅速な修正が可能になる。
APS-MarkIVのアドオンとして利用利用すれば、設計と照査のサイクルが高速化する。APS-DCの照査でエラーを確認した場合、即座に設計データにフィードバックして素早く修正可能になり、設計から照査、成果物作成までの工程が効率化する。
照査結果を縦断図に反映させた「幾何構造照査図」を作成可能で、基準を満たしていない項目を具体的に把握できる(左)。視距不足の区間を平面図に図示した「視距確認図」も出力(右) 出典:八千代エンジニヤリングプレスリリース
CIMの原則適用が進む建設業界では、3次元モデルを活用した設計プロセス全体の品質確保が求められている。道路設計業務では、道路構造令などの基準への適合性を確認する照査が品質管理を担っている。国土交通省は、照査済み箇所をマーカーで可視化する「赤黄チェック」を義務化しており、ヒューマンエラーの削減や業務効率化が課題となっている。
そこで、原則適用されているCIMを活用し、照査の補助をすることで、設計者の負担を軽減し、客観的で信頼性の高い設計品質の確保を支援するAPS-DCの開発に至ったという。
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