人手時代のインフラ老朽化に束で立ち向かう“群マネ”手引き書公開、国交省:産業動向
国土交通省は、全国で老朽化が社会問題となっている河川や道路のインフラに対し、複数の自治体や事業者で効率的に管理する取り組み「群マネ」の全国展開に向けた手引き書「群マネの手引き Ver.1(群マネ入門超百科)」を公表した。
国土交通省は2025年10月14日、複数の自治体や事業者、技術者が“束”になって、インフラ分野を効率的に管理する「群マネ(地域インフラ群再生戦略マネジメント)」の全国展開に向けたマニュアルとして、「群マネの手引き Ver.1(群マネ入門超百科)」を公表した。
地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)のマニュアルと事例集を掲載
群マネとは、複数自治体のインフラや道路、河川、公園、下水道といった分野を超えたインフラを「群」として捉え、複数の自治体が一体となってインフラを管理する取り組み。手引きでは、人員や予算が限られる中でもインフラメンテナンスを的確に進めるための新しいマネジメントモデルとして、広域連携や多分野連携のユースケースを整理し、導入プロセスや計画策定の具体的方法を示している。
先行事例としては、奈良県での県と市町村の垂直連携、静岡県下田市での道路維持の共同発注、新潟県三条市や秋田県大館市のJV(共同企業体)活用による効率化、三重県明和町でのマネジメント業務と現場作業の分業体制などを掲載。各事例では、発注手続きや契約形態を工夫することで、作業効率などが向上したとしている。
手引き本編は全6章構成で、導入検討から事業実施、効果評価までの「標準ステップ」をまとめている。さらに41項目のQ&A形式で、他自治体との費用分担の方法や業務の束ね方と残し方、事業者とのコミュニケーションの進め方など、実務上の悩みに応える内容となっている。
また、計画策定を支援する付録ツールも併せて提供する。現状把握ツール、発注状況把握ツール、導入効果試算ツール、アンケート作成支援ツールに加え、先行事例のサンプル集として発注図書や協定書などがダウンロード可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
BIM/CIM活用で土木工事の積算効率化、日本の産学官チームがopenBIM Awardsでインフラ設計部門最優秀賞
BIM活用に関する国際組織buildingSMART Internationalが主催する国際賞「openBIM Awards 2025」のインフラ設計部門で、日本の産学官チームが部門最優秀賞を受賞した。
道路陥没の特効薬! 地下の見えないリスクを可視化するジオ・サーチの地中“MRI” 3Dマップ
日本中に激震が走った埼玉県八潮市の道路陥没事故。インフラ調査会社のジオ・サーチは、地下インフラの“見えないリスク”に対し、地中のMRI検査ともいうべき「地上/地下インフラ3Dマップ」を提供するなど、人命を守るインフラDXを展開している。
【無料動画】「日建設計の都市デジタルツイン―レジリエントシティーの実現へ」
過去のBUILT主催イベントでの基調講演をアーカイブ動画として限定公開します。無料のBUILT読者会員に登録することで、課金一切なしで視聴できます。今回のアーカイブ動画は、日建設計でBIMや建築や都市に関連するデジタルデザインに携わり、国交省の「Project PLATEAU」にも参画する西勇氏の「日建設計の都市デジタルツイン」と題した講演です。
八潮の道路陥没事故はAI活用で防げたか? “予防保全”を実現する土木学会の最新研究【土木×AI第34回】
八潮市で起きた事故を筆頭に、全国で道路陥没が多発しています。国交省ではインフラの維持管理に対し、従来の不具合が起きた後に対処する“事後保全”から、事前の定期点検や修繕で長寿命化を図る“予防保全”への転換を進めています。そこで今回は、道路陥没を未然に防ぐ予防保全を可能にするAIの最新研究を紹介します。
i-Construction 2.0の自動化3本柱で必須 設計と施工のCIMをつなぐ標準形式「J-LandXML」
2023年度から小規模を除く全ての公共事業で、BIM/CIM原則適用がスタートして、早2年。徐々にBIM/CIM活用が進み始めている中、いまだに測量〜調査〜設計〜施工〜維持管理の建設プロセスでデータ連携ができていないケースも多い。一般社団法人の「OCF」は、ICT施工で設計CIMと施工CIMをつなぐ標準ファイルフォーマットとして「J-LandXML」の普及を進めている。
北九州市が手のひらサイズのドローン「IBIS2」で下水管を点検 八潮の道路陥没を受けた全国重点調査
北九州市 上下水道局は、Liberawareの狭小点検に特化したドローン「IBIS2」を用い、埼玉県八潮での道路陥没事故を受けた国交省から要請を受け、下水道管の重点調査を実施した。調査は、市内の直径2メートル以上で設置後30年以上が経過した下水管約54キロを対象としている。
大型商業施設内のグリーンインフラで雨水の流出抑制効果を確認、東急建設
東急建設は、大規模商業施設に設置したレインガーデンとバイオスウェルのモニタリング実証を行い、雨水の流出を抑制効果を確認できたと明らかにした。



