鋼製支保工建込み時の切羽立入りゼロへ、北海道新幹線トンネル工事で試験施工 飛島建設:山岳トンネル工事
飛島建設は鋼製支保工建込み時の作業員の切羽立入りをゼロにすることを目的に、「北海道新幹線、札樽トンネル(富丘)」工事で、「クイックジョイント」と「頭付きアンカー」の2つの技術を適用した試験施工を実施した。
飛島建設は2025年9月30日、鉄道建設・運輸機構 北海道新幹線建設局発注の「北海道新幹線、札樽トンネル(富丘)」工事で、鋼製支保工建込み時の作業員の切羽立入りをゼロにすることを目的に、「クイックジョイント」と「頭付きアンカー」の2つの技術を適用した試験施工を実施したと発表した。
従来、鋼製支保工の天端継手部は、左右の継手板を、作業員が切羽直下でボルト/ナットにより締結していた。クイックジョイントで事前に継手板へオス側とメス側の治具を固定しておくことで、エレクタ操作のみで締結可能な構造とした。試験施工では、クイックジョイントを初めて操作するオペレーターでも、エレクタ操作のみでスムーズな締結作業ができると確認した。
また、標準的な鋼製支保工の建込み方法では、吹付けコンクリートで固定されるまでの間の転倒を防止するために、建込み後に切羽直下でつなぎ材を設置する必要がある。頭付きアンカーを建込み前の支保工に事前に取り付け、エレクタで固定したまま吹き付けコンクリートに埋め込んで固定を確認してからエレクタを外すことで、切羽直下でのつなぎ作業を省略できる。
試験施工ではトータルステーションとマグネット式プリズムにより座標を確認しながら、頭付きアンカーを設置した状態の鋼製支保工を目標位置へ誘導。目標位置へ建込み後にプリズムを取り外し、脚部の頭付きアンカーを埋め込むようにコンクリートを吹き付けた。脚部固定確認後にエレクタを取り外したところ、動くことなく固定できていたことを確認した。
飛島建設は今回の試験結果を踏まえ、鋼製支保工建込み作業の省人化と安全性を向上させる施策を検討し、社内展開を進める。
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