トンネル発破掘削の装薬作業を機械化、3ブーム自動装薬専用機開発 前田建設工業:山岳トンネル工事
前田建設工業は、山岳トンネルにおける発破掘削作業の装薬工程を自動化する「3ブーム自動装薬専用機」を開発した。
前田建設工業は2025年9月8日、山岳トンネルの発破掘削における装薬作業を機械化/自動化する「3ブーム自動装薬専用機」を開発したと発表した。作業員が切羽直下に立ち入らずに、遠隔の装薬機からワンマンオペレーターで作業できる。
山岳トンネル工事の中でも、切羽直下で行う火薬類の装薬作業や支保工の建込み作業は肌落ちなどのリスクが伴う。前田建設工業は、肌落ちによる重篤災害につながる切羽直下への作業員立入ゼロに向け、全自動鋼製支保工建込みロボットや火薬類の装薬作業を機械化を進めている。
3ブーム自動装薬専用機は、全自動ドリルジャンボと無線通信で連携し、取得した孔位置や差し角(穿孔角度)などのデータを基に装薬孔へ最適なアプローチを行う。さらに装薬機に送られる穿孔長の実績に基づき孔尻位置を把握し、孔奥まで確実に爆薬を装填する。
装薬パイプを送り出すフィーダーは、電動モーターによる直動機構を採用。親ダイ装薬時や増ダイ装薬において装薬パイプ送り速度、送り出し長を精密に制御し、より正確な切羽奥行方向の位置合わせを行える。
親ダイは、紙巻含水爆薬と非電気式雷管を組み合せ、先端コーンと生分解性樹脂管に内包してカートリッジ化した。時間経過とともに分解される生分解性樹脂を使用することで、トンネル掘削ずりへの異物混入を防止する。増ダイには粒状爆薬(含水爆薬やANFO)を採用し、エア圧送による機械装填にも対応。粒状のため、込め物を詰める作業も不要となる。
また、装薬機には圧力検知などを行う計測器を内蔵。爆薬や装置への負荷を常時モニタリングする。過度な爆薬の押し込みや切羽との接触などの異常を検知した場合はシステムが自動停止する。
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