地盤改良工事向け「鉛直精度リアルタイムモニタリングシステム」開発、竹中土木:製品動向
竹中土木、加賀電子、古野電気は共同で、地盤改良施工中の改良体先端位置を可視化し、鉛直精度を確保する「鉛直精度リアルタイムモニタリングシステム」を開発した。
竹中土木は2025年9月9日、加賀電子、古野電気と共同で、地盤改良工事の深層混合処理工法において、高精度な鉛直精度管理を実現する「鉛直精度リアルタイムモニタリングシステム」を開発したと発表した。
従来の鉛直精度管理は、地上部の処理機リーダーの鉛直度を計測する手法が一般的だったが、鉛直精度リアルタイムモニタリングシステムでは、地中の掘削ロッド先端の位置をリアルタイムで計測/表示する。
2軸深層混合処理機の掘削ロッドの中心に設置した無線通信管を介して、掘削部付近に設置した高精度6軸ジャイロセンサーの情報を施工管理用PCに伝送。先端の現在位置をリアルタイムにモニタリングすることで、ラップ不良などのリスクを未然に防ぎ、施工品質の向上につなげる。改良長10メートルの地盤改良の試験施工では、着底時に実施した挿入式傾斜計での先端位置の測定結果と誤差1センチ程度の精度で計測が可能だと確認した。
システムでは、古野電気が提供する「ウェーブガイドLAN」を採用し、耐圧性を持たせた二重管構造の通信専用管を用いて地中でも安定したWi-Fi通信を実現した。実験では最大28メートルの深度まで安定した通信を確認した。
新システムは、専用通信管とジャイロセンサーに加え、深度計も構成要素とすることで、メーカーを問わず後付け可能なシステムとした。掘削ロッドに通信管取付用の眼鏡メタルを取り付けるための専用ジョイントを設けることで、施工機を選ばずに取り付け可能。今後は実施工への適用を通じてデータを蓄積し、精度向上を図るとともに、先端位置情報を利用した制御技術の開発にも取り組む。
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