ニュース
電動小型杭打機でCO2排出量と騒音を低減 大成建設が柱状地盤改良工事に導入:カーボンニュートラル
大成建設は施工時のCO2排出量実質ゼロを目指す取り組みの一環で、都内で施工する建設工事で、電動小型杭打機を使用した柱状地盤改良工事を実施した。
大成建設は2025年7月2日、東京都国分寺市で施工する「東京経済大学国分寺キャンパス第2期整備事業建設工事」で、電動小型杭打機「DHJ-15E」を使用した柱状地盤改良工事を実施したと発表した。
DHJ-15Eは、日本車輌製造とテノックスが共同開発した。従来のエンジン式と同等の施工性能で環境負荷を軽減できる。テノックスによる試験施工では、軽油を使用する従来機と比べて施工時のCO2排出量を約36%削減、騒音レベルを3〜8デシベル低減する成果が得られたという。
DHJ-15Eのスペックは、オーガ回転トルク8.7〜78.5キロニュートンメートル、オーガ回転数は毎分9〜58回、オーガ押込/引抜力は92.1キロニュートン。定格出力110キロワット、給電は有線式(三相440ボルト、輸送時や停電時のバッテリー搭載)。仕事量1キロワット時のCO2排出量は、従来機1035グラムに対し、電動機は658グラム。
大成建設は2023年から、施工時のCO2排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボン・コンストラクションを推進している。今回の電動小型杭打機を用いた施工もこの一環として実施。今後も排気ガスを出さないクリーンな施工と、住宅密集地でも使用できる低騒音施工の普及を目指し、電動建設機械の活用を推進する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
カーボンニュートラル:建設現場で燃料由来のCO2排出量データを一元管理、ゼネコン17社や燃料配送事業者17社が参加
リバスタは、建設現場で用いる燃料由来のCO2排出量データを効率的に管理する実証実験を全国9エリアに拡大した。元請会社17社に加え、燃料配送事業者17社が参加している。カーボンニュートラル:カーボンリサイクルコンクリを場所打ち施工に初適用 大成建設、CO2収支マイナスを実現
大成建設はカーボンリサイクルコンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を、高速道路構造物の場所打ち施工に国内初適用した。阪神高速道路との共同研究として、阪神高速道路14号松原線の一部区間で試験施工を実施。CO2削減効果と耐久性を確認した。カーボンニュートラル:建設現場に軽油代替燃料「RD40」導入、CO2約4割削減 大成建設
大成建設と伊藤忠エネクスは、大阪市中央区の建設現場に環境配慮型の軽油代替燃料「RD40」を導入した。使用によりCO2排出量を約40%低減できる。カーボンニュートラル:新幹線車両製造時の副産物を「環境配慮コンクリ」に活用 JR東海 /大成建設など
大成建設、JR東海、相模原市は、ごみ処理過程で生じる溶融スラグや、金属製品製造時に発生する水酸化アルミニウムを活用した環境配慮コンクリートを共同開発した。ZEB:建設中の大成建設グループ次世代技術研究所で設備機器の低炭素化を推進
大成建設は埼玉県幸手市で建設中の「大成建設グループ次世代技術研究所研究管理棟」において、建物のライフサイクル全体でのCO2収支を実質ゼロとする「ゼロカーボンビル」の実現を目指している。調達段階や修繕時のCO2排出量削減に向けて、建築設備機器のカーボンニュートラル化を推進する他、リサイクル石こうを100%使用した石こうボードの採用などに取り組む。産業動向:大成建設とNIMSが「革新的環境材料開発センター」設立 マテリアルズインフォマティクスなど活用
大成建設と物質・材料研究機構(NIMS)は、茨城県つくば市のNIMS内に「NIMS-大成建設 革新的環境材料開発センター」を開設した。マテリアルズインフォマティクスなどを駆使して、カーボンニュートラルとサーキュラエコノミーへの移行を見据えた環境配慮型建設材料を共同開発する。