阪神・淡路大震災を機に発売したパナソニックの耐震住宅工法 30周年記念で「あたしンち」とコラボ:耐震
パナソニック アーキスケルトンデザインが提供する耐震住宅工法「テクノストラクチャー」が、発売直前に発生した阪神・淡路大震災と同年の1995年から数え、30周年を迎えた。30周年キャンペーンとして、漫画「あたしンち」とコラボして特設サイトや建設現場の養生シート掲出などを展開する。
パナソニック ハウジングソリューションズグループのパナソニック アーキスケルトンデザインは、提供する耐震住宅工法「テクノストラクチャー」が2025年6月に発売30周年を迎えたと公表した。
30周年を記念し、漫画家のけらえいこ氏の作品「あたしンち」とコラボして、キャラクターのタチバナ家が登場する特設サイト「あたしンち耐震ンち」を2025年6月5日に公開した。Webサイトでは、あたしンちを耐震ンちにするには?」の答えを探す過程をストーリー仕立ての漫画で表現。マイホームを検討中の施主の視点に立って、疑問や不安をキャラクターが再現し、テクノストラクチャー工法30年の歩みや特長を分かりやすく伝える。
加盟店の建設現場などには、養生シートや看板をキャラクター仕様で展開する他、モデルハウスや現場見学会などのイベントでは、ノベルティーも配布する。
全国約350社の加盟店やビルダーで、累計7万8000棟以上の実績
テクノストラクチャー工法は、独自部材の木と鉄の複合梁(ばり)「テクノビーム」で木造の弱点を克服し、一般的な2階建て以下の木造住宅には義務付けられていない「許容応力度計算による構造計算」を1棟1棟行っている。設計段階で地震や台風などの災害、積雪などの荷重による建物へのダメージを計算し、万一の多様な災害への備えを想定している。
また、災害だけでなく、太陽光発電システムなども含め、建物全体の重さも細かく条件設定して構造計算している。
2023年12月には、繰り返す巨大地震にも耐える独自基準を設定した「テクノストラクチャーEX」の提案を新たに開始。京都大学 生存圏研究所 准教授 中川貴文氏が開発した木造住宅倒壊解析ソフトウェア「wallstat」を用い、人工地震波による「4D災害シミュレーション」で、テクノストラクチャーの構造躯体に地震の力を吸収する制震ダンパーの適切な量と配置を検討し、建物への影響を最小限に抑制する。
1995年6月に発売して以来、当時としては前代未聞だった1棟ごとの「許容応力度計算による構造計算」を30年間にわたり1棟の例外もなく実施してきた。2025年5月末時点で、パナソニック ビルダーズ グループ加盟店を通じて全国で7万8000棟を超える実績がある。
発売直前の阪神・淡路大震災で証明された耐震性
発売直前の1995年1月17日には阪神・淡路大震災が発生。大阪府下に試験的に建設していたテクノストラクチャーの建物も大きな揺れに見舞われたが、構造の損傷はなかった。その結果を受け、耐震性の高い建物を多くの方に届けるという使命をもって、1995年6月に販売を開始したという。
2011年の東日本大震災では、電気が使えなくなるという非常事態に直面し、耐震性とともに、エネルギーの関心が高まったため、2014年から太陽光発電システムや断熱性能を高める提案を強化した。
2016年には、揺れを抑えることで建物内部の家具転倒なども防ぐテクノダンパーをリニューアル。2016年4月に震度7の地震が2度起きた熊本地震では、制震ダンパーを設置した家の2階で寝ていたお子さんが起きずに寝ていたという体験談も寄せられた。
2022年には、耐震等級3の建物を対象に「地震保証(建替え/補修)」や最長60年の「建物長期保証」の受付を開始。2023年には、震度7の繰り返す巨大地震に耐えるテクノストラクチャーEXをリリース。熊本地震で経験した同じ場所で複数回に及ぶ地震の被害を受け、「震度7は1回だけとは限らない」「繰り返し発生した地震の後に住み続けられる家を目指すなら」という視点で技術開発を強化した。
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