建築基準法の改正に伴い、パナソニックが構造計算と省エネ計算のワンストップサービス開始:産業動向
パナソニックは、建築基準法の改正に伴い、木造軸組工法向けの邸別構造計算と省エネ計算の代行サービスを開始する。地域の住宅会社を対象に、手間のかかる許容応力度計算による構造計算と省エネ計算サービスをまとめて請け負うことで、設計の負担を減らし、高性能住宅の提案が可能になる。
パナソニック ハウジングソリューションズとパナソニック アーキスケルトンデザインは2025年6月3日、木造軸組工法の住宅を対象とした「邸別構造計算」のサービスを開始する。専門知識が求められる構造計算と省エネ計算をワンストップで代行し、人手不足や法改正への対応に直面する住宅工務店の業務効率化を支援する。
構造計算と省エネ計算をまとめてアウトソーシング
建設業界では、2025年4月に改正した建築基準法で、4号特例が縮小されたことで、構造関係や省エネ関連の図書提出が必要となった。また、建築基準法の必要壁量の算定方法が見直され、必要な壁量が増加する。基準を満たすために壁や柱の追加が必要となり、大空間を遮るなど、設計自由度の低下が懸念される。そのため、建物全体の強度を緻密に計算し、効率的で最適な量の壁を配置する許容応力度計算による構造計算(ルート1)のニーズが高まると予想されている。
しかし、仕様規定での計算よりも難易度が高く、手間がかかり、専門人材の不足や労働時間規制の強化に直面する中小工務店にとっては大きな負担となっていた。
木造軸組工法向け邸別構造計算は、パナソニックの耐震住宅工法「テクノストラクチャー」で1995年6月から数えて約30年間/累計7万8000棟以上の実績がある許容応力度計算のノウハウを活用したサービス。提供するのは「構造計算書」「構造伏図」「安全証明書」の3点に加え、審査機関からの質疑応答も含む。また、ZEHソリューションセンターの省エネ計算サポートも同時に提供し、両方をまとめて依頼する場合は割引料金が適用される。 既に加盟店のZEH対応サポートを行っているZEHソリューションセンターに、構造計算サポート室を新設し、サービスを拡充する。
料金は、許容応力度計算による構造計算(1〜2階建て、200平方メートル以下の場合)が16万円、省エネ計算が6万円、両方を同時に依頼する場合は18万円(全て税別)。対象は「PanasonicリフォームClub」と「住まいパートナーズ」の加盟店。
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