床置き型エアコンのフィルターを自動再生で15年交換不要に 大成建設が開発:BAS
大成建設は、床置き型の業務用エアコンフィルターに付着したごみを吸引し、円形ドラム型ろ材を自動で洗浄する自動再生機能付きユニットを開発した。フィルター維持管理の省力化で、メンテナンスコストと廃棄ろ材の削減が実現する。
大成建設は忍足研究所と共同で、床置き型パッケージエアコン(PACエアコン)のフィルターろ材を自動で再生し、フィルター交換が長期間不要となる自動再生機能付きフィルターユニット「T-Self clean Filter」を開発したと2025年5月29日に発表した。
ユニットを小麦粉などの粉体を取り扱う食品工場の市販PACエアコンに取り付けて実証した結果、フィルターの長寿命化と維持管理の省力化で、メンテナンスコストと廃棄ろ材の削減が可能になったという。
フィルター交換が約15年不要に
工場などで稼働している多くのPACエアコンは、フィルターの定期的なメンテナンスが欠かせない。特に小麦粉などの粉体を取り扱う食品工場では、PACエアコンの空気吸い込み口や熱交換器(コイルフィン)の目詰まりによる空調能力の低下を防ぐため、フィルターろ材を頻繁に交換する必要があり、ろ材も再利用されることなく廃棄されている。メンテナンスコストや廃棄するフィルターろ材の削減を図る上でも、フィルター維持管理の省力化が求められていた。
フィルターに付着したごみを自動で取り除き、ろ材を再生する機能を備えた「自動再生フィルター」は、室内の空気を循環させながら空調を行うエアハンドリングユニット空調機向けには販売されているが、PACエアコン製品としてはまだ実用化されていなかった。
T-Self clean Filterは、自動再生フィルター、集塵装置、制御盤が一体化しており、市販PACエアコンの吸い込み側に、後付けで容易に組み込める。装着すると、フィルターろ材の自動再生が可能となり、フィルター交換が約15年の長期間にわたり不要となる。
コスト面ではPACエアコンフィルターの長寿命化により、フィルター維持管理の手間が大幅に軽減するとともに廃棄ろ材の削減が図れる。ユニット1台あたりの装着に伴う費用(初期設備導入費、維持管理費など)と従来方式による費用(交換用フィルターろ材を含む維持管理費など)との差分は運用開始後約11年で回収される見込みだ。
今後は、食品工場などの新築や改修工事で、PACエアコンのフィルター維持管理の大幅な省力化を図りつつ、空調能力低下を防ぎ、室内の温熱環境を常に維持することが可能なユニットの採用を積極的に提案するとしている。
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