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施行中のトンネル工事現場で自動運転ショベルを2カ月間運用、実用性を確認 安藤ハザマとコベルコ建機:i-Construction 2.0
安藤ハザマとコベルコ建機は、自動運転ショベルの実用化に向けて、施工中の工事現場で2カ月間の長期運用を実施した。
安藤ハザマとコベルコ建機は2025年6月12日、茨城県茨城町と小美玉市にまたがるトンネル工事現場で実施した自動運転ショベルの実証実験の成果を発表した。2カ月間の長期運用を通じて、安全性と実用性を確認した。
実証実験は安藤ハザマが施工する「R5霞ヶ浦導水石岡トンネル(第3工区)新設工事」で2025年4月から6月にかけて実施。油圧ショベルが自動運転で、有人ダンプトラックへの掘削土砂積込み作業を繰り返し行った。シールド掘削現場特有の土砂排出量の変動や土質変化に対しては、現場人員がタブレット端末で調整機能を操作して柔軟に対応した。ダンプの停車位置の変化には、ARマーカを使わない独自の物体検知機能を活用し、実工事での長期運用を可能にした。
安全面では国土交通省の「自動施工における安全ルールVer.1.0」に基づいてリスクアセスメントを実施。無人/中継/立ち入り禁止の作業エリアを設定。無人エリアでは、遠隔操作システム「K-DIVE」を自動運転と組み合わせた無人作業を行った。車両走行路や建屋が近接するエリアでは、ショベルの動作経路逸脱検知機能やレーザーバリアセンサーとの連携によるエリア監視で安全性を確保し、長期運用を無事故で完了した。
両社は2019年4月に共同研究に関する協定を締結。AI活用による外部環境認識機能の実装や実作業環境での検証などを段階的に進めてきた。今回の検証成果を踏まえ、今後は自動運転ショベルの適用工種拡大と現場展開の加速を図る方針だ。
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