東急が2025年度鉄道設備に482億円 田奈駅や宮崎台の改修、四足ロボの設備点検など:2025年度建設計画(2/2 ページ)
東急電鉄は、2025年度の鉄道事業設備投資で総額482億円を計上した。桜新町駅や田奈駅、宮崎台駅のリニューアル、たまプラーザ駅付近のトンネルや鶴見川橋梁の老朽化した土木構造物更新に加え、四足歩行ロボットによる電気設備点検や車両検査の高度化や効率化を図る。
最新技術を活用した点検業務の高度化/効率化
鉄道事業の点検/検査業務の高度化/効率化に向け、2025年4月からBoston Dynamics製の四足歩行ロボット「Spot(スポット)」を活用した実証実験をスタート。2025年度は「元住吉」駅周辺の変電所や車庫で、現在検査員が行っている電気設備や車両搭載機器の点検/検査業務を対象に、ロボット搭載の各種カメラやセンサーを用い、機器設備の状況を把握する。
ワンマン運転の運転士による閉扉判断の補助を目的に、パナソニック コネクトのAI画像解析技術を導入する。2024年度は、ホームで介助が必要な顧客の案内を行う際の合図を送る駅係員をAI画像解析技術で検知し、車内モニターに表示する実証実験を行った。2025年度は、実証実験で得られた知見を活用し、運転士の閉扉判断に影響を与える検知対象の拡大も含め本格導入に向けた検討を進める。
運営の高度化と安全水準の向上に関しては、2023年度以降から転てつ機と軌道を対象設備に運用を開始した「状態保全(CBM)支援システム」、駒沢大学駅など5駅で導入した空調換気設備のクラウド型遠隔監視システム「クラウド SCADA」で、データの可視化、蓄積、分析に取り組んでいる。
2025年度は対象設備数を増やし、変電所や配電所への適用なども進める。現地検査の見直しによる業務の効率化、夜間作業の負担軽減、データに基づく円滑な技術伝承といった効果の他、適切な設備更新計画の策定や実行によるコスト抑制、故障の未然防止による運行品質の維持/向上を図る。
大井町線車両の新造と目黒線/東横線/田園都市線所属車両のリニューアル
車両の新造やリニューアルは、大井町線の各駅停車で運行している9000系/9020系(18編成計90両)を置き換えるべく、5両編成の6020系を順次導入し、2025年夏以降には計8編成となる見通し。
目黒線、東横線、田園都市線の所属車両線3000系、5050系(8両編成)、5000系が導入から約20年経過したため、エクステリアやインテリアデザインを一新。目黒線3000系は2025年秋頃、東横線5050系(8両編成)は2025年冬頃、田園都市線5000系は2026年春頃から開始する。
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