大阪府茨木市にNTTデータの大規模データセンター2棟建設、2025年秋着工:プロジェクト
NTTデータグループは、大阪府茨木市にデータセンター2棟を新設する。クラウドサービスや生成AIの投資増が今後も見込まれるため、首都圏に次いで急速に成長する大阪で大規模データセンターを開発する。第一期棟は2025年秋に着工し、2027年度下期に運用を開始。第二期棟は2032年の完成で、2棟合わせ36メガワットのIT電力容量を供給する。
NTTデータグループは2025年5月27日、データセンター事業を担うグループ会社NTTグローバルデータセンターを通じ、大阪府茨木市に「大阪北データセンター」を建設すると公表した。施設は合計2棟で構成し、完成時に36メガワット(MW)のIT電力容量を安定供給する。
災害リスクが低い海抜36.0mの平地に建設
第一期棟は地上3階建て免震構造で、2025年秋ごろの着工、2027年度下期にサービス開始の予定。電力会社からの受電を受け、18MWのIT電力容量を約5000平方メートルのサーバルームに供給する。第二期棟は2032年に完成し、第一期棟と同じ18MWの電力を提供し、計36MWとなる。
データセンターの計画地は、大阪府茨木市の災害リスクが低い海抜36メートルの平たんな土地に建設する。大阪中心部から車で約35分、伊丹空港からは約30分でアクセスできる利便性の高いエリアに位置する。
第一期棟の機能は、データセンターの国際基準「Uptime Tier3」「Jティア3」相当の電力に加え、壁吹きエアコン、空冷式モジュラーチラー、直接液体冷却(DLC)といった空調、通信設備の冗長化、災害対策、省エネ型設備を整備する。また、24時間365日のセキュリティオペレーションセンター(SOC)とセキュリティパトロール、多要素認証アクセス制御でサイバーセキュリティ対策を講じる。
施設内では、大規模AI基盤の実現に不可欠な複数GPU搭載の高発熱サーバ、最新鋭のラックスケールソリューションに対応した高発熱高密度ラックを設置可能で、そうしたラック向け直接液冷方式などの最先端な液冷技術の導入にも対応している。
さらに、NTTグループが推進するIOWN(Innovative Optical and Wireless Network) APNの実装を計画し、グループ各社のデータセンター間や顧客データセンターとの間でIOWN APN接続を行い、既存データセンターの拡張サイトとして利用することもできる。
NTTデータグループでは大阪をアジア太平洋地域のデータセンター市場で、首都圏に次いで急速に成長している市場の1つと位置付ける。「これまでの首都圏災害時のバックアップセンターとしての役割に加え、クラウドサービスを支えるハイパースケールクラウドの拠点としても重要な市場」とし、「今後は生成AIの実用化に向けた大きな投資も見込まれており、大阪のデジタルインフラやデータセンター環境は今後ますます強化されていくと予想される」と、データセンターが集積する北大阪エリアの茨木地域で、大規模データセンター用地と電力確保を行う理由を説明する。
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