真のスマートビル実現の母体となる「スマートビル共創機構」設立 建築、ITの産官学115社/団体が結集:SMART BUILDING CONFERENCE 2025(2/2 ページ)
スマートビルが当たり前の社会を目指すべく、建築、設備、ITの業界を横断した「スマートビルディング共創機構」が2025年4月に設立した。省エネや快適性向上、DXなどで、新たなビルの価値創出を目的に、森ビル、ソフトバンク、大成建設、竹中工務店、東急建設、パナソニック EW社、日立製作所など、設立当初115社/団体が参画する。
人材育成や技術標準化、ビルのデータ利活用で新規産業創出へ
森ビルの竹田氏は、設立会見と同時開催した「SMART BUILDING CONFERENCE 2025」の中で共創機構の概要を説明。「スマートビルの中心にいるのは人。メンバーの中でも現場に近く、ビルの中で生活する人に近いところにいるのが森ビル。当社の開発プロセスでも、何百人もの方との共同事業やデザイナーやゼネコンから協力を得ている」と参画理由を語った。
また、竹田氏はスマートビルディング共創機構の設立趣意書を読み上げ、団体を設立する思いを表明した。団体の存在意義としては、産学官が共創して社会課題に向き合い、デジタルやデータを活用したスマートビルの普及促進を通じて人々に新たな価値を提供し、人間中心かつ持続可能な社会への貢献と定めている。
共創機構が目指すビジョンは、「世界をリードする仕組みつくり」「スマートビルが当たり前の世界」「エコシステムの構築」の3つ。将来は会員企業や一般社会に、「インセンティブ/ルールの創出」「スマートビルの標準化/認証」「集合知の構築と共有」「人材育成」「コミュニティの形成」といった価値を提供する。竹田氏はその中でも「エコシステムの創造」では、「早く仕組みを社会実装するためには協調領域の設定が重要となる」と強調し、ガイドラインやツールを整備するとした。
共創機構は、理事会設置の非営利型一般社団法人として設立。主要機能として6つの役割に紐(ひも)付く、6つのワーキンググループと傘下のサブワーキンググループでスマートビルの市場調査、さまざまな機能の研究開発、外部連携などに取り組む。
竹田氏は「スマートフォンが“当たり前”になったように、スマートビルも一般社会で当たり前になる時代がくる。共創機構は実現のための基盤だ。大企業ばかりではなく、スタートアップ、アカデミア、NPO、NGOなど垣根を越えて参加してもらいたい。スマートビルを軸に、領域を横断してさまざまなセクターの人が集まること自体に価値がある」とし、建築やIT以外でも多様な業界や業種の企業や団体の参加を広く求めた。
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