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在来種で四季の移り変わりを体感できる室内緑化技術開発、大成建設製品動向

大成建設は、自然な形態を再現したプランターに在来植物を植栽し、室内でも四季の移り変わりを体感できる室内緑化技術を開発した。

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 大成建設は2025年5月9日、自然な形状を模したプランターに在来植物を植栽し、室内でも四季の移り変わりを体感できる室内緑化技術「T−バイオフィリックグリーン」を開発したと発表した。約2年半にわたる生育実験では、潅水量を従来の室内緑化より約80%削減しながら、良好な生育状況を維持したことを確認した。

室内緑化技術「T−バイオフィリックグリーン」の実施状況
室内緑化技術「T−バイオフィリックグリーン」の実施状況。開始時の2022年4月(左)と2024年8月(右) 出典:大成建設プレスリリース

 日本国内の在来植物の多くは、寒暖差の大きい外気温の変化を感知して葉を広げ、開花する性質を持つ。屋外に比べて温度変化の少ない室内では十分な生育が難しいとされ、一般的な室内緑化には熱帯性の観葉植物が用いられてきた。また、従来のプランターは四角や円形などの人工的な形状や材質が主流で、屋外と同様の自然な景観を演出するのは困難だった。

 大成建設は今回、年間の温度変化が少ない沖縄など南方にも分布し、神奈川県横浜市の自社技術センター近傍にも自生する種類を中心に、2年間の室内生育試験を実施。室内環境でも安定的に育つ約60種の在来植物を選定した。これらの植物は温度変化の少ない室内環境でも四季の変化を感じる特性を備え、かつ枯れにくい。

 植栽エリアは、樹脂を混合した土壌でプランター外周部を覆い固化した上で、エリア全体に土壌を敷き詰めて在来植物を植栽。プランター枠の露出度を約98%削減した。

 室内緑化では過剰な給水による室内の湿度上昇が課題となるが、新技術は植物の生育に必要な最低限の潅水頻度と潅水量、保水性の高い土壌配合を最適化することで、従来の室内緑化に比べて潅水量を約80%削減した。

 新技術を適用した技術センターのエントランスホールにおける実施中の生育実験(5平方メートル)では、2022年2月に植栽した61種200株の植物が、2024年8月現在まで良好な伸長量と植被率を維持している。

 大成建設は今後、日本の四季を体感できる技術として、オフィスビルや商業施設に積極的に提案していく考えを示した。

室内で生育可能な在来植物の一例
室内で生育可能な在来植物の一例出典:大成建設プレスリリース
植栽時からの伸長量と被覆率の経時変化
植栽時からの伸長量と被覆率の経時変化出典:大成建設プレスリリース

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