映像から建設現場や設備のリスクをAIが自動検出 mignの点検DX「obtec」:AI
mignは、建設現場の監視や点検で、映像や画像から人や物の数量を算出し、設備の傷や破損、人の危険行動を検知するAI解析サービスを開発した。これまで人の目に依存していた情報がAIでデータ化されるため、安全管理や点検業務の効率化とともに、業務の標準化が実現する。
不動産/建設業界に特化したAIソリューションを開発するmign(マイン)は、建設現場の監視や施設の点検などで、映像や図面から家具や備品の数と破損や傷、人の危険動作などを自動検出するAI解析ソリューション「obtec(オブテック)」を開発し、2025年4月からアルファテスト版の提供を開始した。
映像から家具や建具の数量算出、破損箇所や危険動作も検出
obtecは、画像や動画、PDFやJPEGの間取り図といったビジュアルデータをAIが解析する。現場に存在する家具や建具、備品を瞬時に検出して数量化すると同時に、傷や劣化、危険な人の動きまでも自動で特定する次世代型の現場可視化ソリューション。
検出の手順は、家具/家電検出AIモデルなど使用するAIモデルとベッドやイスなどの検知対象を指定し、動画または画像をWebサイトにアップロードして検証ボタンを押すだけ。後は自動で動画の検証が始まり、5分程度で完了し、結果はCSVファイルの出力に対応している。
これまで目視や手作業で行われてきた現場点検や備品管理、安全監視の業務を自動化することで、業務の属人化を防ぎ、管理品質の平準化と効率化が実現する。
建設現場では、作業員の危険行動をリアルタイムで検知し、即時アラートを発する。事故を未然に防ぎ、安全管理を支援する。点検業務では、マンションやオフィスなどの内覧動画から壁や床の傷/損傷を自動検出し、報告書作成の時間が短縮。宿泊施設では客室に備品がそろっているか、盗難がないかなどを映像をもとに自動判定し、清掃や点検の品質と速度の向上が期待される。
mignはobtec導入で、「従来は“人の目”に頼っていた情報をAIの“視覚”でデータ化し、誰もが同じ基準で現場を評価/管理する体制が構築できる」としている。現在はアルファテスト版のみで外部公開を控え、興味のある企業には特別にデモ環境を提供している。アルファテスト版は基本的な機能を備えつつ、拡張の可能性を秘めた初期段階のプロダクトで、今後は新機能や革新的な要素を追加するという。
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