鉋(かんな)のように現場の手間や時間を削る施工管理アプリ「KANNA」:第9回 JAPAN BUILD TOKYO(2/2 ページ)
デジタル化が遅れている“建設現場の時間や手間を鉋のように削る”を目指し、アルダグラムが開発した現場DXソリューション「KANNA」。機能をあえて厳選したことで、デジタルツールに疎い建設作業員でも使いやすく、2024年9月時点で5万社に導入されているという。
「初級者向けで簡単」の製品設計で現場定着を図る
ただ、こうした機能を見たときに、他社の同様のサービスと比べて物足りなく感じる方もいるだろう。KANNAは、あえて必要な機能に絞ることで、デジタルツールに苦手意識を持つ現場作業員の懸念を払しょく。製品担当者は「機能が多すぎると現場での入力が煩雑になり、結局使われなくなる。そこで現場の声を反映し、本当に必要な機能だけを厳選した」と裏話を語る。
導入しても現場で使いこなせなければ、DX以前にIT化にもならない。ユーザーからも「必要な機能がそろっているので使いやすい」と好評だ。
機能を限定することは、コスト抑制にもつながっている。「現場効率化ソフトは費用対効果が見えにくく、高コストが導入障壁となるケースが多い。低価格にすることで、これまで業務効率化ツールを使っていなかった企業でも、気軽に手にしやすい」と担当者は自信を示す。
料金プランは、小規模事業者向け「ライトプラン」、大規模現場の管理用で中規模事業者を対象とした「ベーシックプラン」、セキュリティやサポートを強化した「エンタープライズプラン」の3種類。それぞれ自社アカウント数やデータ保存容量が異なり、ライトプランは10アカウント/200GB、ベーシックプランは20アカウント/400GB、エンタープライズプランは要見積もり/1000GBとなっている。
いずれのプランもプロジェクトの協力会社用アカウントは無制限で追加費用は掛からない。大規模プロジェクトでは協力会社の人数が多く、運用やコストを考えると、関係者全てにアカウントを持ってもらうことはハードルが高い。ブース担当者は「他社サービスでは、追加に課金されるケースもあるが、当社のサービスは協力会社用のアカウントを何件増やしても追加料金が発生しない。この点も当社のサービスが選ばれる理由だ」と強調する。
カスタマイズ機能もあり、柔軟な運用が可能
高度な機能を求めるユーザー向けには、有料オプションでカスタマイズ機能も用意されている。現場で帳票作成するKANNAレポート、プロジェクト工程表の作成や共有、印刷機能、電子小黒板付きの写真撮影などのサービスなどだ。
また、業務内容に合わせた案件フロー作成や案件テンプレートの調整、現場/顧客/物件情報の現場に関わる情報の設定、報告書のフォーマット変更など、会社ごと案件ごとに応じて柔軟にカスタマイズできる機能も充実している。
今後も、現場のニーズをもとにアルダグラムの営業と開発チームが連携し、サービスのブラッシュアップを進めていくという。
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