高所作業の転落をゼロに! フックを掛ける場所がなくてもOK、シンガポール発転落防止システム:メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024(2/2 ページ)
フルハーネス型墜落制止用器具の着用が完全義務化以降も、高所作業の墜落/転落事故は後を絶たず、建設現場ではさらなる安全対策が求められている。G-Placeは、その解決策として、シンガポールで安全な環境づくりの視点から生まれた常設型転落防止システム「アクロバット」を提案している。フックを掛ける場所がなくても、建物側にワイヤやレールの親綱を設置するため、安全な現場環境が構築できる。
展示ブースでは、水平型ワイヤタイプに加え、垂直型ワイヤタイプ、懸垂型ワイヤタイプ、懸垂型支柱シリーズ「AK Davits」、レールタイプなど、多彩なラインアップを紹介した。
ブース担当者は、「転落事故対策には、危険箇所への接近を防ぐレストレインシステムと、万一の転落時に衝撃を吸収するフォールアレストシステムの2つの仕組みが重要だ」と説明。「アクロバットは、ワイヤの配置を自由に調整することで墜落する恐れのある危険箇所への接近を防止できる。ショックアブソーバーによる墜落時の衝撃吸収機能を備えており、理想的な転落防止システムだ」と強調した。
高い信頼性で、日本の現場安全性を世界レベルまで引き上げる
もちろん、強度面でも高い信頼性を誇る。日本ではフルハーネスの着用が義務化されたものの、ハーネスをつなぐ支点の強度には明確な基準がない。水平型ワイヤタイプは欧州規格EN795-Cに準拠し、高い強度を確保。さらにG-Placeは、折板屋根の実物模型にアクロバットを設置して、引張試験や100キロの重りの自由落下などによる落下阻止試験など、EN規格と同等の独自の安全試験を独自で実施して性能を確認済み。
G-Placeは2019年の労働安全衛生展でもアクロバットを参考展示しており、特にコロナ禍明け以降、大規模工場を中心に多くの問い合わせが寄せられているという。ブース担当者は「建物にはメンテナンスが必要。そのための常設型の転落防止システムの設置は、海外では広く普及している。アクロバット製品の普及を通じて、日本の現場の安全性向上に貢献したい」と意気込みを語った。
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