3D点群認識技術を活用、施工進捗判定を自動化 リコーと日本設備工業:AI
リコーと日本設備工業は、3D点群処理技術とAIを活用し、施工進捗管理の自動化を目指す実証実験を開始した。BIMデータと360度カメラで撮影した現場画像を点群化し、仮想空間上で重ねて進捗を自動判定する。
リコーは2025年3月27日、日本設備工業と連携し、施工現場の進捗管理の効率化/自動化を目指す実証実験を開始したと発表した。リコーの3D点群認識によるデジタルツインとAI技術を活用し、従来、現場監督者が目視で行っていた進捗確認の負担軽減を図る。
実証ではまず、設備工事の計画情報(BIMデータ)と360℃カメラ「RICOH THETA X」で撮影した現場実績画像を3D点群化し、仮想空間上で重ね合わせて表示する。さらにリコーの画像認識技術を用いて点群データ間の差分を自動的に検出し、デジタルツイン上で位置合わせ、差分検出、物体認識を行うことで、進捗度合を算出。差異を可視化し、進捗判定を自動化する。
実証は2025年3月24日から5月末まで一部施設を対象に実施しており、今後は対象範囲の拡大も予定している。
価値共創拠点での取り組みから実証へ
今回の実証は、リコーが運営する価値共創拠点「RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO(RICOH BIL TOKYO)」での取り組みから生まれた。RICOH BIL TOKYOではリコーの顧客接点力を生かし、100以上の業種の顧客価値シナリオと、自然言語処理/空間認識分野に強みを持つ独自AI技術を組み合わせ、フラッグシップとなる価値提供事例の共創に取り組んでいる。
リコーと日本設備工業は、RICOH BIL TOKYOでの対話を通じて建設/設備業界の人手不足や技術承継といった課題に着目し、専任のデザインシンカーによるデザイン思考型ワークショップやヒアリングを通して潜在的な課題やニーズを抽出。両社の知見と技術を掛け合わせることで価値提供のアイデアを創出し、今回の実証に至った。
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