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AIでCADオペの負担はどう変わる? 初心者でもできるAutoCAD「自動化」CADオペに即効性があるAI時短術!

日々進化を続ける「AutoCAD」にはCADオペレーターの業務負担を軽減する数多くの機能が標準搭載されている。今回は誰でもできる簡単な操作で作業時間の短縮に即効性がある機能として、注目度の高い“AI”の活用を取り上げる。手書き指摘事項の自動転記やプログラミング知識不要の作業自動化など実践的テクニックを紹介する。

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CAD業務の効率化は“三方良し”

 CADオペレーターはとかく多忙だ。最たる要因は、設計図面の変更や修正など手戻りが多発することにある。複数案件を抱え、厳しい納期にも追われ、締め切り直前には長時間残業が続くことも多い。

 こうした状況を踏まえても、CAD業務の効率化は慢性的な人材不足に陥っている建設業界で早急に解決すべき課題となっている。オペレーターを雇用する側からすれば時間外労働の上限規制(2024年問題)に伴い、現状のままでは業務破綻を招きかねない。CADオペレーターにとっては業務効率化で残業を確実に減らし、その分だけ設計品質の向上や無駄な残業の削減につながる。施主側でも、効率化による設計コストカットや工期短縮が見込める。効率化は、“雇用側”“オペレーター”“施主”のいずれにとっても“三方良し”となるのだ。

 ただ、CADオペレーションのノウハウは属人的なものが多く、効率化の“技”が共有されにくい。大塚商会はそうした課題感から2025年4月24日、初心者でもできる業務効率化のテクニックを解説するオンラインセミナー「『AutoCAD』時短マスター 初心者でもできるAI時短テクニック」 をオートデスクと開催する。

 セミナーに先立つ事前情報として、AutoCADの著書を多数執筆しているCADインストラクターの芳賀百合氏に話を伺った。今回の講演内容は、このところ注目を集める“AI”にフォーカスした3つのテクニックをレクチャーするという。

Autodesk製品に特化した情報検索で疑問を即解消

芳賀 百合 / Yuri Haga
芳賀 百合 / Yuri Haga 初心者には分かりやすく指導し、上級者には1ランク上の使いこなし方を教えるインストラクターとして活動中。もともと土木設計事務所のCADオペレーターでAutoCAD歴は15年以上。Autodesk製品のユーザーコミュニティー「AUG-JP」のイベントでスピーカーも担当。『はじめてのAutoCAD』『AutoCAD 完全ガイドブック』『だれでもできるAutoCAD [土木編]』など、AutoCADに関する著書を数多く執筆している

 1つ目は、AutoCAD専用の「Autodesk AI」によるユーザーサポート機能「オートデスク アシスタント」を使った業務中の疑問解消法だ。

 AutoCADには、ユーザーの設計業務をサポートする機能が数多く用意されている。長方形の中心点を正確に取るために、長辺と短辺の双方の中央から補助線を表示して交点を示す「オブジェクト スナップ トラッキング」もその1つ。

 しかし、こうした機能は便利な反面、日常的に使うわけではない。「利用したいが、どうすれば使えるのかを忘れてしまった」といった経験はCADオペレーターであれば誰しもあるはず。

 そこで目的の機能を探すためにWeb検索することになるが、一筋縄では答えに辿(たど)り着かない。機能や操作法(アクション)の名称さえ覚えていれば別だが、「意識して使っているオペレーターはごくわずか」。

 名称に代わるのが操作手順を文章化した検索だ。オブジェクト スナップ トラッキングを例にとると、「作図するときに角度の補助線を表示したい」で検索しても、「ダイナミック入力」「座標や距離のガイド」「作図補助機能」「角度のついた補助線」など、解答らしき検索結果が表示されるものの、結論を言えばそれらの多くが別の機能解説のページでしかない。

 オートデスク アシスタントは、こうしたWeb検索の煩雑さを解消する。芳賀氏は、「オートデスク アシスタントは、Autodeskの製品ドキュメント、サポートとトラブルシューティング用のコンテンツ、フォーラムコミュニティー、学習コンテンツなど、Autodesk製品に特化した精度の高い検索ができる。他のCADソフトウェアの情報まで引っかかる検索エンジンよりも簡単かつ短時間に解を得られ、AutoCAD上で使いたい機能の場所を矢印で表示したり、動画で使い方を説明したり、誰にでも分かりやすい」と説明する。

AutoCADでの作業中に問題解決をサポートするAI「オートデスク アシスタント」の画面
AutoCADでの作業中に問題解決をサポートするAI「オートデスク アシスタント」の画面 提供:芳賀百合氏

 芳賀氏はAutoCADの作業を中断せずに知りたい情報を探せるのも、オートデスク アシスタントのメリットと補足する。Web検索では、たとえ解答が得られてもAutoCADの作業でブラウザが隠れ、確認のために改めてブラウザを前面に表示させなければならない。その点、オートデスク アシスタントはAutoCAD画面に重ねて表示されるので、説明を読みつつ作業を進められる。「AutoCADの2022年版から実装されているが、オペレーターの間で利用はあまり広がっていない。調べものが圧倒的に楽になるので、ぜひ活用してほしい」と芳賀氏は笑顔で語る。

図面の手書き指摘事項を半自動化で修正

 テクニックの2つ目は、Autodesk AIによる「マークアップ読み込み」を利用した図面修正の省力化だ。この機能は、生産性の向上をより強化した「AutoCAD Plus」に含まれる製品で利用できる。

 マークアップ読み込みは、PDFデータの図面に記入されたコメントや取り消し線などの修正指示をAIが自動識別し、修正作業を「半自動化」する。操作手順はセミナーのデモで詳しく解説するが、指摘事項が入った図面のPDFデータをAutoCAD製品で読み込むだけでCADデータに自動で位置が合わさり、反映される。紙データをスキャンしたPDFデータにも対応している。

 AutoCADに取り込んだ後は、画面上に修正部分を囲む「マークアップ」が表示される。マークアップをクリックすると、「移動」「消去」「形状変更」などの指示に該当する作業ボタンが現れ、選択すれば自動で実行する。作業した箇所はマークアップの色が薄い色へ変化し、修正漏れが一目で分かる。画面だけで作業が完結するため、紙からAutoCADの転記による視線遷移が格段に減り、目の負担も抑えられる。

マークアップと作業ボタン
マークアップと作業ボタン 提供:芳賀百合氏
修正済みの箇所は薄い色でフェード表示
修正済みの箇所は薄い色でフェード表示 提供:芳賀百合氏

 芳賀氏によれば修正が20カ所ある場合、これまで紙図面の用意から、修正箇所の確認、AutoCADの修正作業、全ての修正箇所をチェックまでで26分掛かっていたが、マークアップ読み込みでは半分の12分で済んだという。

 修正指示は移動であれば「MOVE」、消去であれば「Delete」など英語で記述し、読み取れる。現状では、手書きの日本語の読み取り能力はそれほど高くないが、数字の認識能力は高く、置換指示に応じる。

12を11に修正する指示。数字は手書きでも認識する
12を11に修正する指示。数字は手書きでも認識する 提供:芳賀百合氏

生成AIでプログラムを作成し、繰り返し作業を自動化

 テクニックの3つ目が単調な作業のプログラムによる自動化だ。AutoCADの作業では、同じ操作の繰り返しが頻発する。例えば「ハッチングの面積を文字で追記する作業」では、面積の確認だけでもメートル単位への変換で15回のクリック操作が必要になる。

 細かな作業の一つ一つは小さくても、積みあがればかなりの負担となってしまう。そこで役立つのが、複数処理をまとめて実行するAutoCADでのLISP(リスプ)言語のプログラムだ。プログラムを組むのは多くのオペレーターにとって初めてのことで、ハードルが高く感じるかもしれない。Microsoft Copilotなどの生成AIを活用すれば、プログラミングの知識がなくても、任意の作業を自動化するLISPプログラムが自動で出力される。

 生成AIが生成したプログラムはメモ帳などに貼り付け、LISP拡張子で保存すれば準備は完了。後はLISPファイルをAutoCADの画面上にドラッグ&ドロップして読み込み、コマンドとして実行する。想定通りに処理されないときは、既存のLISPファイルを添付し、どこをどう直したいかを生成AIに伝えることで適切なプログラムを再生成できる。

生成AIでプログラムを生成し、繰り返し作業を自動化
生成AIでプログラムを生成し、繰り返し作業を自動化 提供:芳賀百合氏

 芳賀氏が押さえておくべきポイントとして強調するのが、生成AIに自分の立場(土木のCADオペレーターでプログラミング初心者)や目的(AutoCADのLISPでハッチングの面積を文字で作成)、面積計算や文字作成の手順/条件を明確に伝えることだ。「詳細な説明を与えれば思う通りに動くプログラムを組める。LISPによる自動化の効果は極めて大きく、利用しないのは損」。

 一度プログラムを作成してしまえば、同様の作業でも要件を変えるだけで再利用できる。そのため、プログラムの蓄積と共有をチームや会社単位で進めれば、組織全体で設計業務の生産性向上にもつながる。

AutoCADのスキル習得スクールも定期開催中!

 生成AIによる作業時間短縮の“ワザ”が学べる今回のセミナーは、あらゆるオペレーターにとって見逃せないものとなるはずだ。

 大塚商会では他にも、目的に合わせた効率的なスキル習得支援のために、初心者から経験者まで幅広い層を対象にした教育プログラム「AutoCADスクール」を定期開催している。全国14カ所のオートデスク認定トレーニングセンターで学べる「来場型」、オフィスから参加する「オンライン型」、自分のペースで学習する「配信型」などの柔軟な受講方法を用意し、企業単位での個別開催にも対応している。

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提供:株式会社大塚商会
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2025年5月2日

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