ドローンが“塗る”時代へ 包装容器メーカーの東洋製罐が提案する機体搭載のスプレー装置:Japan Drone 2025(1/2 ページ)
「建物の補修や塗装をもっと手軽かつ安全に」そんなニーズに応えるのが、東洋製罐のドローン搭載用スプレー装置「SABOT-3」だ。総合包装容器メーカーならではの噴射技術をドローンに応用し、高所作業を自動化する。専用アーム「NYOI」との併用で、接触塗布や高粘度液体も対応可能になる。
千葉県の幕張メッセで2025年6月4〜6日に開催されたドローン展示会「Japan Drone 2025」。10回目を迎える今回は、「はたらくドローン(Drones at Work)」をテーマに、産業用途で活躍する機体や周辺機器が多数出展された。
そうした中、包装容器メーカーで知られる東洋製罐は、ドローン搭載型のスプレー缶噴射装置「SABOT-3」を訴求した。“ドローンをどう飛ばすか”の時代から、“飛ばして何をするか”の時代へ――その転換を象徴する製品として、現場の作業効率と安全性を変革する可能性を秘めている。
包装資材のリーディング企業が“ドローン×噴射”で挑む新領域
缶、ペットボトル、パウチ容器など、複合材料を用いた包装資材を製造する企業として国内有数の東洋製罐。これまで培ってきた“包む技術”を応用し、新たに挑むのがドローンによるスプレー噴射という分野だ。
SABOT-3は、ドローンに搭載して使用するスプレー噴射装置。高所のマーキングや軽微な補修作業、鳥忌避剤の吹き付けなど、足場を組むことなく、現場の手間と安全性を大幅に改善するツールだ。ブース担当者は「既にグループ会社の工場や倉庫屋根で、補修・忌避剤散布といった実績を積み上げている」と説明する。
対応機体は、「DJI Matrice 300 RTK/350 RTK」。アダプターには、DJIのジンバルポートアダプター「DJI SKYPORT」を採用し、ワンタッチで機体に取り付けられる。SABOT-3自体は、DJIのサードパーティー製ペイロード統合キット「PAYLOAD SDK(PSDK)」で開発されており、制御アプリ「DJI Pilot」からそのまま操作できる。
運用の手軽さもSABOT-3の特徴だ。装置の格納庫に専用スプレー缶を装着すれば、ユーザーインタフェース(UI)上で操作して噴射作業を行うだけ。噴射位置の予測、スプレー缶の残量、対象物との距離、モード設定、セーフティー状態など、ドローン操縦で必要な情報は画面にオーバーレイ表示される。
SABOT-3の販売は、DJI製ドローン機体の販売や講習、アフターサポートなどを提供しているSEKIDOが正規販売代理店を務め、実運用を前提とした導入相談にも応じる。
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