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鴻池組が「鉄骨基礎梁+KPC工法」を大阪で建設中の物流倉庫に適用:新工法
鴻池組は、基礎構造の合理化と環境負荷を軽減する新工法「鉄骨基礎梁+KPC工法」を大阪府大阪市東住吉区で建設中の物流倉庫に採用した。CO2排出量に影響する汚泥土や掘削土が低減し、施工の省力化にも寄与する。
鴻池組は2025年3月、「鉄骨基礎梁(きそばり)+KPC工法」を大阪府大阪市東住吉区で建設中の物流倉庫に適用したと発表した。
地盤面から1メートル程度上の高床部に採用、掘削土量を大幅削減
鉄骨基礎梁工法は基礎梁をRC造からS造に置き換え、施工の省力化や工期短縮が見込める。梁せいが小さくなるため、掘削土量を減らせ、基礎梁の軽量化による杭径の小径化も可能でCO2排出量を削減できる。
KPC工法は、杭頭部と鉄骨基礎梁をつなぐ部分にCFT構造を用いる。ハイブリッド構造で構造耐力が向上し、現場での配筋や型枠作業を省ける。さらに、鉄骨基礎梁の建方後に鋼管内部のコンクリートを充てんするため、杭施工で生じる施工誤差を吸収できる。
大阪府大阪市東住吉区で鴻池組が設計・施工を担当している地上4階建ての物流倉庫「GLP大阪III」で適用したところ、支点反力が約15%軽減した。敷地の地盤は砂層と粘土層の互層で形成され、明確な支持層がなく支点反力を減らして杭長を抑える必要があった。
従来の工法と比較して杭長が短縮し、杭工事で生じる汚泥土の排出量が減少。地盤面から1メートル程度上方にある高床部にも採用し、既存のRC基礎と比較して掘削土量が低減した。
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