野村不と慶応大、住戸全体の床空調システム採用物件で健康への影響を調査:スマートハウス
野村不動産と慶應義塾大学は、野村不動産の住戸全体の床空調システム「床快 full 空調」を採用した物件で健康への影響を調査した。夏には「体のだるさ」「イライラ」を軽減し、冬には血圧の安定化や「手足の冷え」の自覚症状頻度の改善がみられた。
野村不動産と慶應義塾大学は2025年3月6日、野村不動産が住宅の空調で掲げる隅々まで換気しながら住戸全体を快適な温度に保つコンセプト「床快 full(ゆかいふる)」に基づく、空調設備「床快 full 空調システム」を導入した物件で健康への影響を調査した。
夏季の睡眠や冬季の血圧で改善がみられる
調査は、これまでマンションの床チャンバー方式の全館空調がもたらす健康への効果については研究例が少ないため、温熱環境や快適性の確度をより高め、顧客満足度の向上を目的に慶應義塾大学と野村不動産で共同研究を実施した。床快full空調を採用しているマンション購入者の協力の下、転居前後の住宅で温熱環境と血圧、脈拍、睡眠状態、体温などのバイタルデータを比較して健康への効果を検証した。
検証は、スマートウェルネス住宅の推進事業など住宅と健康の関係で多数の調査を実施し、豊富な知見を有する慶應義塾大学 伊教授 香賀俊治氏と准教授 川久保俊氏に依頼
した。
実測調査は、夏季の2022年7〜8月(転居前)と2023年7〜8月(転居後)と冬季の2022年12月〜2023年1月(転居前)と2023年12月〜2024年1月(転居後)をそれぞれ行い、転居前後の結果を比較した。
夏季調査では、転居後は転居前に比べて測定期間中の平均気温が日中で約3.6℃、夜間で約1.5℃上昇した一方、水回りを中心とした室温が全館空調の効果によって低下した。転居前後でのアンケート調査では、「体のだるさ」「イライラ」「疲れ」といった指標が改善している。
相対湿度は9.6%低下し、「暑くて眠れない」「ジメジメして眠れない」と答えた割合は減少した。
冬季調査では、転居前に比べて転居後に外気温が約1.5℃上がり、各室の室温は転居前で居間を除く全ての部屋で18℃を下回る時間が存在したが、転居後では18℃を下回る時間は生じなかった。
特に在宅中の居間の上下温度差が2.2〜0.3℃となった。居間と脱衣所、居間とトイレとの温度差も良好となり、「手足が冷える」と感じる人の割合が低下した。
さらに、居住者の起床時収縮期血圧を転居前後で比較したところ、転居前の血圧が115mmHg未満の人で1.8ミリ水銀(mmHg)、115mmHg以上の人で3.9mmHg下がった。
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