ダイダンとAutodeskが戦略的提携を締結 RevitとACCで空調・衛生・電気のBIM連携強化:BIM
ダイダンと米Autodeskは「戦略的提携に関する覚書(MOU)」を締結した。BIMソフトウェアのRevitとBIMプラットフォームのAutodesk Construction Cloudを採用し、施工段階での業務効率化を目的に、空調・衛生・電気設備の連携を強化するワークフローを構築する。
ダイダンと米Autodeskは2025年2月12日、BIMデータを活用した生産性の更なる向上を目的に、「戦略的提携に関する覚書(MOU)」を締結したと発表した。
空調・衛生・電気設備を一つのBIMモデルで検討できる環境を構築
国内建設市場は活況が続いているものの、残業規制や労働力不足、建材価格の高騰といった課題が依然として山積し、生産性向上が急務となっている。こうした状況下で、DXやBIMの活用が注目されており、国土交通省は2026年春から、BIM図面審査を用いた建築確認申請を開始するなど国を挙げた動きも活発化している。
ダイダンは、長期ビジョンや中期経営計画に基づき、空調・衛生工事を「収益の基盤となる事業」、電気工事を「変革する事業」と位置付け、総合設備業工事から「空間価値創造」企業への成長を目指している。その一環で、DXを積極的に推進し、2021年には経済産業省が定める「DX認定」を取得し、DX戦略でBIMを用いたワークフロー改革を進めている。
そうした中、ダイダンはBIMデータを活用した効率的な施工体制の確立を重要課題と捉え、空調・衛生・電気設備の連携を強化するワークフローの構築に向けて、AutodeskのBIMソフトウェア「Autodesk Revit」と建設業に特化したクラウドサービス「Autodesk Construction Cloud(ACC)」をBIMの共通データ環境として採用する。RevitとACCを活用し、空調・衛生・電気設備を一つのBIMモデルで総合的かつプロセスを前倒しするフロントローディングで検討できる環境を構築し、効率化だけでなく付加価値の創出も目指す。
また、BIMデータを中核に各種アプリケーションやICTツールのデータを集約し、データに基づいたデータ駆動型の的確な意思決定を実現することで、円滑なプロジェクト管理の体制も構築する。
他にもAutodeskを通じ、国内だけでなく世界中のDXやBIMに関する知見やリソースも積極的に活用する。
ダイダン 代表取締役社長執行役員 山中康宏氏は、「ダイダンは中期経営計画のデジタル戦略方針および施策の一環で、建設DXのさらなる推進を掲げている。特に施工業務での人手不足、長時間労働の改善に向けた業務革新や働き方改革の手法として、BIMを用いたワークフロー改革に取り組んでいる。今後、Autodeskの支援により、空調・衛生・電気の連携強化による総合設備業としてのメリットの最大化やデータを活用した業務効率化を目指す」と話す。
オートデスク 代表取締役社長 中西智行氏は、「BIM導入の流れがデータをつくる時代から、データを有効に使う時代に変わりつつある。RevitとACCの相乗効果を最大限に感じていただくためにも、頼れるDX推進パートナーとして、ダイダンのワークフロー改革を全力でサポートする」とコメント。
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