日建設計が中央大「茗荷谷キャンパス」に実装 地下でも自然光を感じる照明技術:照明設計(2/2 ページ)
自然採光は建物の利用者に対し、リラックスや集中力などのメリットを与える。しかし、地下空間では採光自体が難しい。そこで日建設計はLED照明と植栽を組み合わせ、地下空間で自然光を再現する新しいライティング技術を開発し、中央大学の「茗荷谷キャンパス」に実装した。
人工的な自然光の組み合わせと、その効果
実験の結果、導き出された自然光の照明構成は、天空光模擬照明で高色温度(10000K)の小型投光器によるコンクリート壁面への広角照明と、太陽直射模擬照明で中昼温度(5000K)の小型灯光器による樹木への狭角照明となった。2つの組み合わせで屋外環境での樹木のコントラストが強まり、自然環境に近いきらめき感を再現した。
茗荷谷キャンパスは2023年4月の開校後、1年後に建物全体の利用者と窓際のみの利用者にアンケート調査を実施した。「研究室で太陽光を感じるか」の問いには、本来地下空間で感じないはずの太陽光を全体で約半数、窓際で55%が感じると回答。「昼と夜のどちらがリラックスできるか」の問いでは、全体ではほぼ同率だったが、窓側では約半数が照明が点灯している昼の方がリラックスできると、効果が証明された。
「窓の外が太陽光を模した照明器具だ」と種を明かす問いには、気付いていなかった回答者は全体で63%、窓側のみでは45%となり、太陽光を感じているにもかかわらず、照明とは認識されていないことが判明した。
日建設計では茗荷谷キャンパスでの実証を糧に、今後も同種の照明開発を継続していく。現状では明るさが不足する居室や窓からの光を感じにくい奥行きの深いオフィス、隣接する建物の影響で採光が困難な場所など用途は限られているが、病院や介護施設、スポーツ関連施設など潜在的需要は多いため、これからの技術進化に期待できそうだ。
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