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調査リポート

Autodeskが建設業界の課題を徹底分析! コスト、人材、サステナビリティの視点と全体最適化が急務建設業界でAI活用の可能性は?(1/4 ページ)

オートデスクは建設業界のさまざまな企業課題を分析し、未来への道筋を示す大規模調査「デザインと創造の業界動向調査2024」を公表した。調査レポートの説明会では、海外企業と日本国内企業の双方の視点から企業経営にまつわる課題を整理し、具体的な解決策となるAutodeskの最新技術を紹介した。特にビジネスレジリエンス向上で必要となるコスト、人材、サステナビリティの3要素に焦点を当て、業界の問題点とその先の可能性を探った説明会の内容を振り返る。

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 米Autodeskは2023年から「デザインと創造の業界動向調査」を発表し、建設業界を含むさまざまな業界が直面する課題を明らかにしている。建設・建築や土木・インフラをはじめ、メディアエンタテイメントや製造の各業界に、「デザイン&メーク」の切り口でリサーチしている。調査方法は国内やグローバル企業のビジネスリーダー、専門家、学者にアンケートとインタビューを敢行し、現在のビジネスを決定するときに最も切迫している問題を聞いた。

 2024年の調査では、2023年を大幅に超える5399人にヒアリング。「ビジネスのレジリエンス」への準備について前回同様に聞いたところ、グローバル全体では数値が向上し、73%の企業が不確実な環境変化に対応可能と回答した。一方、建設業を含む日本企業は44%と前年から減少し、対応力に課題を抱えている傾向が明らかになった。

高まる日本企業のビジネスレジリエンス対応の重要性

 建設業界では1992年をピークとする建設投資が一時落ち込んだものの、2010年から民間の投資額が伸び、回復傾向が続いている。しかし、オートデスク グローバル事業開発部 アジア太平洋地域建設事業開発部 部長 高橋りえん氏は「景気は確実に伸びているが、業界の課題は全く減っていない」と指摘する。

日本国内の建設市場は2010年から回復基調にある
日本国内の建設市場は2010年から回復基調にある 提供:オートデスク

 最も大きな問題は労働者の高齢化だ。10年前から建設業界の約3割以上が55歳を超え、今もそれは変わっていない。30歳以下の人材は大体1割程度のため、約2割程度の就業者数が10年以内に減少する計算だ。2024年度から始まった残業規制(2024年問題)、建設資材価格の高騰、円安による外国人材登用の難しさなどさまざまな課題が山積している。

建設業界が抱える課題は深刻さを増し、デジタル化は急務
建設業界が抱える課題は深刻さを増し、デジタル化は急務 提供:オートデスク

 現場の就業環境に目を向けると、2022年には労働生産性が6.2%低下したが、給与は増加している。業況や効率性が十分に改善しないまま、賃金負担が増える厳しい経営状況に直面している。

 こうした中で建設会社にとっては、ビジネスレジリエンスへの対応は急務の取り組みとなる。注目を集めているのが、DXによるシステム開発やツール導入だが、部分的な作業効率化はできても、節約した時間にもっと利益を増やすことができていない。

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