BIM加速化事業の代替で「建築GX・DX推進事業」創設 BIMとLCAを補助対象に65億円計上:BIM
国土交通省は、BIM活用プロジェクトを支援する新制度として「建築GX・DX推進事業」を開始する。BIM活用だけでなく、建築物のライフサイクルCO2を算定する「LCA実施型」の2タイプが補助対象。予算規模は2024年度補正で5億円、2025年度当初案で65億円をそれぞれ計上している。
国土交通省は、中小事業者の建築BIM活用を支援する「建築BIM加速化事業」に代わる枠組みとして、「建築GX・DX推進事業」を創設した。
「BIM活用事業者登録制度」の3年間はBIM活用状況の報告を要件化
新制度では建築BIMを対象とする「BIM活用型」とともに、ライフサイクルCO2削減の推進(GX)を目的に新設した「LCA(Life Cycle Assessment)実施型」と一体で運用する。
LCAは、国際規格「ISO 14040シリーズ」で「製品の原材料の採取から製造、使用、処分に至る生涯(ゆりかごから墓場まで)を通しての環境側面と潜在的影響を調査するもの」と規定され、建築物が環境にどのような影響を与えているかを評価する手法。環境負荷(CO2排出量)は、環境負荷=環境負荷原単位×使用数量で算出する。
建築GX・DX推進事業のうち、BIM活用型ではBIMモデル活用に要した経費の2分の1を設計調査費/建設工事費として補助する。対象は、元請事業者や専門設計事務所、専門工事業者がBIMモデル作成に要したソフトウェア費やCDE環境(共通データ環境)構築費、BIMコーディネーター費など。新たに導入初期、BIM高度化のためのBIMモデル作成、維持管理のBIMモデル作成のそれぞれの段階でBIMモデラーの配置に掛かる費用も追加した。
補助額は延べ床面積に応じて補助限度額を設定し、最大3万平方メートル以上で設計費3500万円、建設工事費5500万円。従来あった公共通路などの整備要件は廃止している。
補助を受けるには、代表事業者となる元請事業者が「BIM活用事業者登録制度」に、前年度時点での現在の取り組み状況などの「BIM活用推進計画」を策定して登録する。また、活用年度や事業者規模に応じ、3カ年の目標を設定し、補助事業完了後の3年間は毎年度進捗状況を報告する必要がある。BIM活用3年以下で導入初期のBIMモデラー人件費を申請する場合は、工程計画の入力も必須となる。
代表事業者の登録は2025年2月18日から、2024年年度補正予算分を電子申請で受け付けている。2025年度当初予算分は、2025年4月1日ごろに公募する予定。
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