ニュース
ホイールローダ用の後付け自動運転装置を開発、大林組:スマートコンストラクション
大林組は、ホイールローダ用後付け自動運転装置の実証実験をグループのバイオマス発電所で実施し、燃料運搬作業の自動化に成功した。
大林組は2025年2月18日、ホイールローダ用の後付け自動運転装置を開発したと発表した。新装置はグループのバイオマス発電所で実証試験を行い、約2時間半で発電所の安定稼働に必要な燃料135トンの投入を達成。燃料運搬作業の自動化に成功した。
今回開発したホイールローダ用自動運転装置は、自動運転システム、3D-LiDARや傾斜計などの各種センサー、自動運転制御盤、レバー制御装置で構成。メーカーや機種を問わず後付け可能で、すくい込みや運搬、積み込み、投入などの作業設定を遠隔の安全な場所から行える。帳票機能も備え、積み込みや投入数量の管理も可能だ。
ホイールローダーは各作業場所の位置を認識し、各種センサーで機体の挙動や位置を把握しながら走行。運搬物の形状から効率的にすくい込みができる最適な位置を自動で判断し、作業位置まで移動する。その後は事前設定した経路に従って運搬し、積み込みや投入作業を実行する。
昼夜問わず稼働が可能、多様な産業の生産性向上へ
新システムは、茨城県神栖市の「大林神栖バイオマス発電所」で実証実験を実施。燃料のPKS(パームやし殻)を集積場所から燃料投入口まで運搬、投入する一連の作業を繰り返した。暗所でも感知可能なセンサーの搭載により、夜間でも日中同様に動作することを確認。採石業や他の発電施設への展開も期待できるとした。
大林組は建設機械の自動運転技術で、建設現場の省人化や生産性向上に加え、建設業以外の多様な産業の生産性向上に貢献していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
i-Construction 2.0:トンネル外の安全な場所から切羽発破に成功、“触る感覚”を再現する技術で火薬装填を遠隔化 大林組
大林組は、山岳トンネルの切羽の火薬装填作業を遠隔化/自動化する「自動火薬装填システム」を適用し、トンネル外の安全な場所から遠隔で実火薬を装填、発破することに成功した。2024年12月2日、都内で記者発表会を開き、成果を報告した。産業動向:ゼネコン“特許”資産規模ランキング トップ3は鹿島、大成、大林組
ゼネコンの特許を対象に、各社が保有する特許資産を質と量の両面から総合評価した「特許資産規模ランキング2024」で、1位は鹿島建設、2位は大成建設、3位は大林組の順となった。また、ハウスメーカーのランキングでトップ3は、積水ハウス、大和ハウス工業、ミサワホームだった。建設ICTで切り拓く、現場の安全衛生と生産性の向上(7):建設DX実現までの指標となる“変革レベル”と、可能性を秘める生成AI【最終回】
連載最終回となる今回は、建設DXをどう進めていけばいいか分からない人の助けとなる“変革レベル”と、DXの要素技術として昨今注目を集めている生成AIについて解説します。ドローン:能登半島地震の影響で通行止めの国道、啓開工事に「自動充電ポート付きドローン」活用
大林組とKDDIスマートドローンは、能登半島地震の影響で通行止めになっている石川県輪島市の国道249号啓開工事に、自動充電ポート付きドローンを常設し、現場状況をデジタルツイン化する取り組みを実施している。CIM:土木設計者の“ワザ”をBIM×AIで次世代につなぐSaaS MalmeがICCのスタートアップ登竜門で優勝
土木設計をBIM×AIで自動化するSaaS「Structural Engine」を開発したスタートアップ企業のMalmeは、「ICCサミット KYOTO 2024」の「STARTUP CATAPULT」で優勝した。MalmeはStructural Engineで、ベテラン土木設計者の経験則に基づく図面や計算書の作成をBIM×AIで代替し、人手不足や技術継承の課題解決につなげることを目指している。BIM:スーゼネ5社とブリヂストン、オイレス工業が「免震装置」のBIMモデル共通化 構造設計でなぜ標準化が必要か?
BIMソフトウェアRevitの大手ゼネコン5社によるユーザー会「BIM Summit」内の構造分科会は、BIMの構造設計で使う「免震装置」のファミリ(BIMの部品)の仕様を共通化した。データ整備には免震装置メーカーのブリヂストンとオイレス工業も参加し、親と子の“入れ子”の構成で、装置選定の設計検討が型番の入れ替えだけで可能になる。