台北MRTで日立が昇降機147台を一括受注 台湾の地震対策ニーズにEV機能で対応:導入事例
日立製作所は、台湾子会社の日立永大電梯を通じ、台北MRTの万大〜中和〜樹林線の第二期工程で昇降機147台を一括受注した。日立グループとしては、台湾で過去最大の昇降機受注だという。
日立製作所は2024年11月28日、台湾子会社の日立永大電梯を通じて、台北MRT(Mass Rapid Transit:大量高速輸送機関)の万大〜中和〜樹林線の第二期工程で、昇降機147台を一括受注したと発表した。同社発表によると、日立グループとして台湾で過去最大の昇降機受注になるという。
台湾の地震対策への関心高まりを受け、管制運転機能を搭載
日立永大電梯は今回、万大〜中和〜樹林線の第二期工程で建設される全13駅と変電所1カ所で、積載質量1600キロと2000キロの機械室レスエレベーター41台、エスカレーター106台を設置する。
エレベーターの内訳は、積載質量1600キロの乗用エレベーターが13台、2000キロの乗用エレベーターが1台、積載質量1600キロの千鳥型エレベーターが6台、積載質量1600キロの展望用エレベーターが21台。定格速度はいずれも分速60メートル。
エスカレーターの内訳は、階高6000ミリメートル以下が57台、6001〜9999ミリが37台、1万ミリ以上が12台。いずれも分速30メートルと39メートルの定格速度を切り替えられる。
今回納入する全てのエレベーターは、台湾では義務化されていない地震時管制運転機能を搭載している。一定以上の地震の揺れを感知すると、エレベーターのかごが最寄りの階に停止し、扉を開放することで、利用者が閉じ込められるのを回避する。エスカレーターも、地震が発生した際に、緩やかに停止する機能を備えている。台湾では、2024年4月3日に発生した台湾東部沖を震源とする地震、その後の複数の余震を受け、地震時のエレベーター利用者の安全性に対する関心が高まっているという。
台北MRTは、台北都市圏での交通需要に対応すべく建設が進んでおり、2031年に全工程が完成する予定だ。第一期工程で9駅、9.5キロメートル、第二期工程は13駅、13.3キロメートルを計画している。
日立永大電梯は、1966年に永大機電として創業以来、台湾の昇降機業界をリードし続けている台湾最大の昇降機事業会社。日立製作所は、永大機電の設立直後に業務提携し、1968年には出資を行い、50年以上にわたって協業関係を継続した後、2020年の連結子会社化を経て2022年に完全子会社化し、日立永大電梯に社名変更した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 建設ICTで切り拓く、現場の安全衛生と生産性の向上(7):建設DX実現までの指標となる“変革レベル”と、可能性を秘める生成AI【最終回】
連載最終回となる今回は、建設DXをどう進めていけばいいか分からない人の助けとなる“変革レベル”と、DXの要素技術として昨今注目を集めている生成AIについて解説します。 - メタバース:大成建設が進めるBIMによるメタバース合意形成システム UI/UXはゲーム開発のネイロが担当
ネイロは、大成建設が開発を進める次世代業務システム「建設承認メタバース」プロジェクトで、UIとUXのコンサルティングを開始した。ゲーム開発の知見を生かし、3DCGを活用した直感的なメタバース空間での合意形成を可能にする。 - Hitachi Social Innovation Forum 2024 JAPAN:デジタルツインの“地中可視化”で日立ら4社が連携 道路メンテナンスの最前線を紹介
インフラの老朽化や激甚化する災害に対応するため、上下水道管路の耐震化や道路の無電柱化が全国で進められている。しかし、地下埋設物のインフラ工事は地下既設管などの把握が不可欠で手間や時間がかかり、インフラ事業者は慢性的な人手不足のために工事進捗で支障を抱えている。こうした課題解決に向け、日立製作所とNTTインフラネット、アイレック技建、応用地質の4社が手を組み、新技術を用いた地中可視化サービスの提供に取り組んでいる。 - AI:AIが上水道の水圧データを分析し故障予兆検知、日立システムズと神戸市の共同研究で実現
日立システムズと神戸市水道局は、上水道の水圧データのAI分析による、配水減圧弁の故障予兆検知を実現した。 - スマートオフィス:スマホタッチだけでシームレスに入館、東京建物が賃貸オフィスに導入
東京建物は、スマートフォンにデジタルセキュリティカードを付与し、リーダーにスマホをタッチするだけで入退館や入退室ができるシステムを国内賃貸オフィスに導入する。 - BUILTトレンドウォッチ(5):2024年4月から本足場が義務化、変更点をおさらい
野原グループが運営する「BuildApp News(ビルドアップ ニュース)」とBUILTがコラボした本連載「BUILTトレンドウォッチ」では、建設DXの実現に向けた基礎知識から、法令動向、最新技術など、旬なキーワードをピックアップして解説します。