ニュース
AIが上水道の水圧データを分析し故障予兆検知、日立システムズと神戸市の共同研究で実現:AI
日立システムズと神戸市水道局は、上水道の水圧データのAI分析による、配水減圧弁の故障予兆検知を実現した。
日立システムズは2024年10月10日、神戸市水道局との共同研究により、上水道の水圧データをAI分析することで配水減圧弁の故障予兆を検知するシステムを実現したと発表した。予兆検知によって故障発生の未然防止や、水道局員によるメンテナンス作業の効率化などが見込める。2025年度からのサービス提供開始を目指し、今後さらに検証を進めていく。
計測した減圧弁の水圧値とAI生成の正常値を比較し、故障の有無を検知
起伏に富んだ地形が特徴の神戸市では、配水池を配置して自然流下方式による給水を採用している。局所的に適正水圧を維持できない地域は、公道内の配水管に減圧弁を設置して水圧を調整している。
日立システムズは2023年7月から、減圧弁水圧監視システムを神戸市水道局に導入し、市内60カ所以上の減圧弁付近での水圧データの提供、運用を行っている。今回の研究では、劣化具合を分析したい減圧弁の水圧値と、AIで生成した数値上正常とされる減圧弁の水圧値を比較し、差を見ることで、対象の減圧弁の故障の程度を分析した。
2024年1月に発生した減圧弁異常では、減圧弁水圧監視システムにより、しきい値超過を早期に検知し、迅速な現地対応につなげた。水圧データのAI分析の結果、故障が確認できた約1カ月前から毎日0〜6時の時間帯で、正常時に対して水圧値が上方に超過していたことが分かり、減圧弁内部のネジの緩みが原因であることを特定した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 産業動向:東海村と日立システムズ、自治体DX実現に向け連携協定
東海村と日立システムズは東海村のデジタルトランスフォーメーション(DX)を共同で推進する連携協定を締結した。東海村庁内における業務の可視化から改善案の検討などのDX共同研究を実施する。 - 検査・維持管理:日立システムズのインフラ劣化状態を見える化するサービス
日立システムズは、社会インフラを含む施設や設備の点検・補修業務の維持管理データを専用のクラウド基盤上でAIにより分析し、対象物の劣化状態を見える化する「CYDEEN劣化要因分析支援サービス」を開発した。 - 5G:5G普及を見据えた日立の映像通信サービス、低コストかつセキュア環境でインフラ点検にも有効
日立システムズは、5Gの普及を視野に入れ、独自の暗号化処理でプライバシーを保護し、専用回線ではなくインターネット回線やクラウドを活用することで安価に4Kや8Kなどの高精細な映像を伝送するサービスをスタートさせた。主な用途としては、自治体のカメラを用いたインフラ設備点検やATMや店舗の監視、遠隔医療などでの活用が見込まれ、同社ではIoTプラットフォーム「Lumada」と連携した5Gのワンストップソリューションと位置付けて、2025年度末までに累計25億円の売上を掲げる。 - ドローン:日立システムズのドローン点検サービス、AIで「ひび」「さび」を検出する新機能
日立システムズが土木向けに提供している構造物のドローン点検サービスに、AIを活用したひびやさびなどの損傷箇所を自動で検出する新機能が追加された。点検結果のレポート出力にも対応しており、これまで3日は掛かっていた報告書の作成が半日に短縮できるという。 - ドローン:日立システムズ、空撮から簡単操作で3次元モデル生成のクラウドサービス
日立システムズは、小規模な構造物をドローンで空撮した写真を素材に、「3次元モデルの生成」「診断」「劣化箇所管理」などをユーザー自身によるボタン操作で行えるクラウドサービスの提供を開始した。価格体系も従来の定額制から従量制となり、利用状況に応じたスモールスタートが可能となる。 - 第5回国際ドローン展:育成実績500人突破、「ドローンエキスパートアカデミー」パートナー企業によるプレゼンも
JUAVAC(ジュアバック)コンソーシアムは、「第5回国際ドローン展」で、「ドローンエキスパートアカデミー」パートナー企業によるプレゼンテーションを行った。