設置するだけで1年間はマンホール水位を監視、日立システムズの「CYDEEN」:第8回 JAPAN BUILD TOKYO(1/2 ページ)
日立システムズが提供するCYDEENは、もともと公共工事の事務処理を効率化する目的で開発したソリューション。その後は、ライフサイクルを総合的に支援するソリューションとして成長し、現在は公共/民間の区別なく、現場での作業効率や品質を向上させる基盤として多方面で利用されている。
日立システムズは、「第8回 JAPAN BUILD TOKYO−建築の先端技術展−」(会期:2023年12月13〜15日、東京ビッグサイト)で、ローカル5GやメッシュWi-Fiなどの通信に関する技術とともに、施工や保守の現場で作業を効率化するサービス「CYDEEN(サイディーン)」を訴求した。
今回の展示で、日立システムズは「マンホールの水位監視」と「作業品質向上/現場作業のDX推進」の2つのアプローチでCYDEENを紹介した。
マンホール下の水位を監視し、豪雨時に施設を守る「CYDEEN」
CYDEENの水インフラ監視サービスは、豪雨時にマンホールから水があふれるのを事前に検出するソリューションだ。機器構成は、マンホールの蓋の下に水位センサーと電源、通信ユニットを設置するだけ。シンプルな装置ながら、マンホール内部を流れる水の水位を計測し、継続的に管理システムに送信する。
主な用途としては、プラント施設やポンプ場といった施設での利用を想定している。仮にプラント施設のマンホールから水が吹き出る事態になれば、被害が出てしまう。しかし、事前にマンホール下の水量や増減の推移が把握できれば、あらあかじめ対策を講じ、被害を最小に留められる。
ポンプ場では、マンホールの下を流れる水量が分かれば、排水能力が足りているか否かも把握できる。もし、下水を流れる水の量が下降傾向にあるのであれば、排水ポンプの稼働率を下げることも可能になるだろう。
意外なことだが、都市のマンホールには水の他に、油がたまっていることもあるという。豪雨によってマンホールから水が溢(あふ)れると、その油も流出し、周辺住民への被害にもつながる。こうしたケースでも、マンホール下の推移を監視していれば事前対策が行える。
水位監視システムでは、情報の送信にセルラーLPWAを使う。バッテリーも装着されるので、ケーブルなどを敷設する必要はない。通信の消費電力が少ないので、1時間ごとの水位データを12時間ごとに送信する運用で、電池寿命は1年持つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.